カテゴリー: 税金と節税

寄付金控除とは?ふるさと納税も含まれます

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

ここ数年、密かなブームとなっている「ふるさと納税」。自分の地元に寄付する、特産品を目的にとある市町村に寄付する、という2つパターンが主流のようです。この「ふるさと納税」は、寄附金控除という仕組みが利用されています。

今回は、そんな特定の寄付をした場合に、所得控除を受けることができる寄付金控除について説明します。

 

寄付金控除とは

寄付金控除とは、特定寄附金といわれる寄付をした場合、所得から差し引くことができる所得控除のことをいいます。寄付ならなんでも対象になるのではなく、寄付をする相手は特定寄附金に該当する相手に限られます。

 

特定寄附金とは

特定寄附金とは、下記の寄付金のことをいいます。公益的な寄付金をイメージしてください。

  • 国や地方公共団体に対する寄付金 → 「ふるさと納税」は地方公共団体に対する寄付金に当ります。
  • 公益社団法人、公益財団法人などに対する寄附金のうち財務大臣が指定したもの
  • 下記の特定公益増進法人に対する、この法人の主目的の行見に関連する寄付金
    1. 独立行政法人
    2. 地方独立行政法人
    3. 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団、日本赤十字社
    4. 公益社団法人、公益財団法人
    5. 旧民法34条により設立された法人
    6. 私立学校法人、私立専修学校など
    7. 社会福祉法人
    8. 更生保護法人
    9. 特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭のうち一定のもの
    10. 政治活動に関する寄附金のうち一定のもの
    11. 認定特定非営利法人(認定NPO法人)に対する寄附金のうち一定のもの
    12. 特定新規中小会社により発行される特定新規株式を払込みにより取得した場合の特定新規株式の取得に要した金額のうち一定の金額(1千万円を限度)、いわゆるエンジェル税制

このように、特定寄附金になるものは限定列挙されているので、これ以外の相手への寄付は該当しません。
公益的ではなく私的な寄付、例えば近所のお祭りへの寄付、とあるイベントへの寄付などは特定寄附金になりません。
また、一見公益的な寄付に見えても、特定寄附金の指定を受けていない相手に対する寄付金は特定寄附金にならないので注意してください。

 

学校の入学に関してする寄付金

下記のような学校の入学に関してする寄付金は特定寄附金にならないので、寄附金控除できません。

  1. 自分や子供などを学校に入学させるのを希望してする寄附金で、その寄付がない限り入学を許されないもの、その他入学と相当の因果関係のある寄付金。入学を辞退するなどにより結果的に入学しない場合でも、特定寄附金にはなりません。
  2. 入学願書の受付開始日から、入学が予定される年の年末までの間に寄付したものは、原則として、「入学と相当の因果関係のある寄付金」に該当するので注意してください。
  3. 自分や子供などを学校に入学させるのを希望して学校に直接行う寄附金だけでなく、その学校と関係のある団体などに行う寄付金も、特定寄附金にはなりません。

入学が決定した後に寄付の募集の開始があったもので、新入生以外の者と同一の条件で募集される寄付は、特定寄附金として寄付金控除できます。

 

寄付金控除として所得から差し引くことができる金額

寄付金控除として所得から差し引くことができる金額は、次の2つの算式で計算されたうち、少ない方の金額になります。

その年に支出した特定寄附金の合計 - 2,000円
( その年の総所得金額等 × 40% ) - 2,000円

総所得金額等については、総所得金額等とはを参照ください。
実際に支払った寄付金が対象となるので、12月31日時点で、寄付する約束だけしてまだ寄付していない分や手形を振出て寄付した場合などは、その年の寄付金控除の対象にはならず、実際に支払った年の寄付金控除の対象になります。

 

寄付金控除を受けるには

確定申告をすることによって寄付金控除を受けることができます。確定申告書には、領収書など寄付したことを証明する書類を確定申告書に添付または提示する必要があります。
寄付した相手によっては、領収書だけでなく「寄付金控除のための書類」も合わせて確定申告書に添付または提示する必要があります。
「寄付金控除のための書類」は、寄付した相手を証明するもので、例えば、特定公益増進法人である旨の証明書の写し、私立学校である旨の証明書、特定公益信託であるとの認定書の写しなどになります。寄付した相手によって用意する書類が異なるため、詳しくは税理士や税務署に相談してください。

 

ふるさと納税

ふるさと納税とは、都道府県や市区町村に対する寄附金のうち、2,000円を超える部分について、一定限度額まで、所得税と住民税の全額が控除されます。ふるさと納税として、所得税と住民税から寄附金控除を受けるには確定申告をする必要があります。
都道府県や市区町村によっては、一定額のふるさと納税を行うと、特産品を送ってくれるなどの各種特典を用意しています。どんな特産品を送ってくれるのか調べるだけでも楽しく、それらをまとめているサイトもあるので、一度チェックしてみてください。

このふるさと納税のスゴいところは、所得金額などに応じて、ふるさと納税のうち2,000円を超える部分について一定限度額までではありますが、その全額が、実質的に所得税と住民税から控除される点にあります。
例えば、10,000円以上ふるさと納税をすると、お礼に特産品の和牛を送ってくれる町があったとしましょう。
所得が4百万円の方が10,000円のふるさと納税を行った場合、2,000円をマイナスした残りの8,000円分まるまる所得税と住民税が安くなります。わずか2,000円の実質負担で10,000円分ふるさと納税したことになり、特産品の和牛を頂けちゃうのです。

ふるさと納税でお得に特産品を頂くポイントは、自分の所得水準から実質負担2,000円となるふるさと納税の上限金額を調べることにあります。ネットで検索すれば、ふるさと納税控除額シミュレーターなどたくさんヒットしますので、そこでチェックすると簡単ですよ。
ただ、実際に確定申告する際は税理士や税務署に確認した方がいいでしょう。

 

 

その他の所得控除

その他の所得控除につきましては、下表のリンク先のページを参照ください。

所得控除の名称 詳細を開設したリンク先
所得控除の一覧 所得控除まとめ
雑損控除 雑損控除とは?災害盗難横領の損害を確定申告で節税
医療費控除 医療費控除とは?医療費の範囲はけっこう広いです1
医療費控除とは?医療費の範囲はけっこう広いです2
社会保険料控除 社会保険料控除とは?実際に支払った分が対象です
小規模企業共済等掛金控除 小規模起業共済等掛金控除とは?確定拠出年金と比べて
生命保険料控除 生命保険料控除とは?家族の分も対象になります
地震保険料控除 地震保険料控除とは?年間保険料5万円以下なら全額控除されます
寄付金控除 寄付金控除とは?ふるさと納税も含まれます
寡婦・寡夫控除 寡婦・寡夫控除とは?年齢の制限はありません
勤労学生控除 勤労学生控除とは?職業訓練学校もOKです
障害者控除 障害者控除とは?16歳未満の扶養親族も対象です
配偶者控除配偶者特別控除 配偶者控除、配偶者特別控除とは?1-けっこう奥が深いです
配偶者控除、配偶者特別控除とは?2-いろんな壁があります
扶養控除 扶養控除とは?一緒に住んでいない親族も対象になります
東京都港区の税理士法人インテグリティまとめ

 

 

おわりに

ふるさと納税を活用して、お得に全国の特産品を入手してみてください。個人的にはやっぱり食べ物やお酒の特産品に目がいっちゃいますね。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

地震保険料控除とは?年間保険料5万円以下なら全額控除されます

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

損害保険料率算出機構の資料によると、2012年末の地震保険の世帯加入率は、東京都で34.1%、全国平均で27.1%となっています。加入率は年々上昇していますが、全国平均で3割にも届いていません。

地震保険の世帯加入率の推移

また、2010年末の火災保険に入っている方のうち、地震保険を付帯している方の割合は、東京都で53.9%、全国平均で56.5%と約半分にとどまっています。

地震保険付帯割合の推移

このような状況のなか、「税金を安くするから皆さん地震保険に入ってね」、地震保険の加入率を上げるために政府の施策で地震保険料控除が作られたのです。
今回は、そんな地震保険の保険料を支払った場合に、所得控除を受けることができる地震保険料控除について説明します。

 

地震保険料控除とは

地震保険料控除とは、特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料や掛金を支払った場合、そのうち一定の金額を所得から差し引くことができる所得控除のことをいいます。

 

地震保険料控除の対象になる地震保険契約

地震保険料控除の対象になる地震保険契約や共済契約は
自分もしくは自分と生計を一にする家族が所有している家のうち普段住んでいる家
または
自分もしくは自分と生計を一にする家族が所有している生活用動産

保険や共済の目的にする契約で
かつ
地震、噴火、津波を原因とする火災や損壊などによる損害を
てん補する保険金や共済金が支払われるものに限られます。

 

自分が入っている保険契約が地震保険料控除の対象になるかどうか

自分が入っている保険契約が地震保険料控除の対象になるかどうかは、保険会社などから送られてくる「控除証明書」などで確認できます。
この証明書は、年末調整のときや、確定申告のときに確定申告書に添付もしくは提示する必要があるので無くさないように保管しておいてください。

 

地震保険料控除として所得から差し引くことができる一定の金額

地震保険料控除として所得から差し引くことができる一定の金額は、下表で計算されます。

1年間に支払った保険料 地震保険料控除の金額
5万円以下 1年間に支払った保険料の全額
5万円超 5万円
東京都港区の税理士法人インテグリティ作成

 

(注:旧長期損害保険料については省略しています)

地震保険料控除として所得から差し引くことができる金額は、その年に実際に支払った保険料をもとにして計算します。

実際に支払った金額が対象となるので、12月31日時点でまだ払っていない分は、その年の地震保険料控除の対象にはならず、実際に支払った年の地震保険料控除の対象になります。

 

地震保険料控除を受けるには

フリーランス・個人事業主の方が地震保険料控除を受けるには、確定申告する必要があります。確定申告書の地震保険料控除の欄に記載して、保険会社などから送られてくる「控除証明書」を確定申告書に添付するか提示します。
なお、会社勤め、会社役員の方などは確定申告する必要はありません。「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」を年末調整時に会社に提出すればOKです。

 

 

その他の所得控除

その他の所得控除につきましては、下表のリンク先のページを参照ください。

所得控除の名称 詳細を開設したリンク先
所得控除の一覧 所得控除まとめ
雑損控除 雑損控除とは?災害盗難横領の損害を確定申告で節税
医療費控除 医療費控除とは?医療費の範囲はけっこう広いです1
医療費控除とは?医療費の範囲はけっこう広いです2
社会保険料控除 社会保険料控除とは?実際に支払った分が対象です
小規模企業共済等掛金控除 小規模起業共済等掛金控除とは?確定拠出年金と比べて
生命保険料控除 生命保険料控除とは?家族の分も対象になります
地震保険料控除 地震保険料控除とは?年間保険料5万円以下なら全額控除されます
寄付金控除 寄付金控除とは?ふるさと納税も含まれます
寡婦・寡夫控除 寡婦・寡夫控除とは?年齢の制限はありません
勤労学生控除 勤労学生控除とは?職業訓練学校もOKです
障害者控除 障害者控除とは?16歳未満の扶養親族も対象です
配偶者控除配偶者特別控除 配偶者控除、配偶者特別控除とは?1-けっこう奥が深いです
配偶者控除、配偶者特別控除とは?2-いろんな壁があります
扶養控除 扶養控除とは?一緒に住んでいない親族も対象になります
東京都港区の税理士法人インテグリティまとめ

 

 

おわりに

地震保険料控除は生命保険料控除と異なり、5万円以下なら支払った保険料の全額が所得控除になるので節税メリットが大きいといえます。火災保険だけでは地震による損害はほとんど補償されません。火災保険には入っているけど、まだ地震保険は付帯していない方は、どうぞご検討ください。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

生命保険料控除とは?家族の分も対象になります

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、生命保険などの保険料を支払った場合に、所得控除を受けることができる生命保険料控除について説明します。
生命保険料控除は医療費控除とともにメジャーな所得控除なので、知っている方も多いのではないでしょうか。

生命保険料控除とは

生命保険料控除とは、一定の生命保険料、介護保険料、医療保険料、個人年金保険料を支払った場合、そのうち一定の金額を所得から差し引くことができる所得控除のことをいいます。

民間の生命保険会社などに支払う保険料をイメージしてください。似ているもので国など公的なところに支払う社会保険料は、生命保険料控除ではなく社会保険料控除の対象になります。

生命保険料控除の対象になる生命保険契約

生命保険料控除の対象になる生命保険契約は、保険料を支払っている本人またはその家族が保険金の受取人になっている生命保険契約などです。
ここで言う生命保険契約とは、生存又は死亡に基因して一定額の保険金が支払われる保険契約や共済契約のことをいいます。

生命保険料控除の対象になる介護保険契約、医療保険契約

生命保険料控除の対象になる介護保険契約、医療保険契約は、保険料を支払っている本人またはその家族が保険金の受取人になっている介護保険契約、医療保険契約などです。
ここで言う介護保険契約、医療保険契約とは、疾病又は身体の傷害等により保険金が支払われる保険契約のうち、医療費支払事由に基因して保険金等が支払われる保険契約や共済契約のことをいいます。

生命保険料控除の対象になる個人年金保険契約

生命保険料控除の対象になる個人年金保険契約は、保険料を支払っている本人またはその配偶者が年金の受取人になっている個人年金保険契約などです。生命保険契約や介護医療保険契約とは異なり、本人および配偶者以外は対象とはなりません。
年金を受け取るまで10年以上の間、保険料を定期に支払う契約であることや、原則60歳になってから10年以上の定期又は終身で年金を受け取ることができるなどの要件があります。

生命保険料控除の対象にならない保険契約

生命保険料控除の対象にならない保険契約として下記のようなものがあります。

  • 貯蓄保険や貯蓄共済といわれるような保険期間が5年未満の保険契約
  • 外国の保険会社と日本国外において締結したもの
  • 信用保険契約、傷害保険契約、財形貯蓄契約、財形住宅貯蓄契約、財形年金貯蓄契約など

自分が入っている保険契約が生命保険料控除の対象になるかどうか

自分が入っている保険契約が生命保険料控除の対象になるかどうかは、保険会社などから送られてくる「生命保険料控除証明書」などで確認できます。
この証明書は、年末調整のときや、確定申告のときに確定申告書に添付もしくは提示する必要があるので無くさないように保管しておいてください。

生命保険料控除として所得から差し引くことができる一定の金額

下表は平成24年1月1日以後に締結した保険契約、いわゆる新保険料についての記載となっています。
生命保険料控除として、最大で新生命保険料控除4万円、介護保険医療保険料控除4万円、新個人年金保険料控除4万円の合計12万円の所得控除を受けることができます。

新生命保険料控除
1年間に支払った保険料 生命保険料控除額
2万円以下 支払った保険料の全額
2万円超 4万円以下 支払った保険料 × 50% + 1万円
4万円超 8万円以下 支払った保険料 × 25% + 2万円
8万円超 4万円
介護保険料、医療保険料控除
1年間に支払った保険料 生命保険料控除額
2万円以下 支払った保険料の全額
2万円超 4万円以下 支払った保険料 × 50% + 1万円
4万円超 8万円以下 支払った保険料 × 25% + 2万円
8万円超 4万円
新個人年金保険料控除
1年間に支払った保険料 生命保険料控除額
2万円以下 支払った保険料の全額
2万円超 4万円以下 支払った保険料 × 50% + 1万円
4万円超 8万円以下 支払った保険料 × 25% + 2万円
8万円超 4万円
東京都港区の税理士法人インテグリティまとめ

生命保険料控除として所得から差し引くことができる金額は、その年に実際に支払った保険料をもとにして計算します。

実際に支払った金額が対象となるので、12月31日時点でまだ払っていない分は、その年の生命保険料控除の対象にはならず、実際に支払った年の生命保険料控除の対象になります。
平成✕6年12月分の生命保険料について、平成✕6年12月31日時点で支払うのを忘れており、平成✕7年1月に支払った場合は、平成✕7年の生命保険料控除の対象になります。

前納(前払い)した分の生命保険料については、前納した期間のうち1年内のものだけが、支払った年の生命保険料控除の対象になります。

全期前納と一時払いについては似ているようで大きく異なりますのでご注意ください。

全期前納 一時払い
しくみ 全保険期間の保険料を契約時に保険会社に預ける形で支払う 全保険期間の保険料を契約時に一括で支払う
生命保険料控除 毎年 初年度のみ
亡くなった時 保険金+未経過保険料 保険金のみ
解約した時 解約返戻金+未経過保険料 解約返戻金のみ
東京都港区の税理士法人インテグリティまとめ

家族の分の保険料を支払った場合

生命保険料控除の対象のなる保険料は、本人が契約した保険契約の保険料だけでなく、本人以外の方が契約した保険契約の保険料であっても、本人が支払っているならば対象になります。

この場合も、保険料を支払っている本人またはその家族が保険金の受取人になっている保険契約が対象になります。本人またはその家族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)であれば生計を一にしていなくてもかまいません。

夫が妻や子供の保険料を払っている場合が該当します。

保険料を家族で分散してさらなる節税

例えば・・・
夫が年間の保険料が10万円の生命保険に2つ入っていたとします。この場合、夫は年間20万円の保険料を支払っていますが、生命保険料控除を受けることができる金額は上限の4万円になります。

そこで生命保険2つのうち1つを妻の支払いにするのです。支払いのみ妻に変更するだけで名義は夫のままでかまいません。そうすると夫と妻がそれぞれ年間10万円の保険料を払うことになり、夫と妻の双方が4万円、合計で8万円の生命保険料控除を受けることができるようになるのです。

しかし
この方法は安易に実行してはいけません。生命保険は支払い時の節税だけでなく、考えたくはありませんが、万が一保険金を受け取る事態になったときの相続税まで考慮しなくてはいけません。保険料受け取り時に節税になっても、保険金受け取り時に増税になっては意味がないどころかマイナスになってしまいます。
必ず税理士に相談して、メリット・デメリットの説明を受けたうえで実行してください。

生命保険料控除を受けるには

フリーランス・個人事業主の方が生命保険料控除を受けるには、確定申告する必要があります。確定申告書の生命保険料控除の欄に記載して、保険会社などから送られてくる「生命保険料控除証明書」を確定申告書に添付するか提示します。
なお、会社勤め、会社役員の方などは確定申告する必要はありません。「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」を年末調整時に会社に提出すればOKです。

その他の所得控除

その他の所得控除につきましては、下表のリンク先のページを参照ください。

所得控除の名称 詳細を開設したリンク先
所得控除の一覧 所得控除まとめ
雑損控除 雑損控除とは?災害盗難横領の損害を確定申告で節税
医療費控除 医療費控除とは?医療費の範囲はけっこう広いです1
医療費控除とは?医療費の範囲はけっこう広いです2
社会保険料控除 社会保険料控除とは?実際に支払った分が対象です
小規模企業共済等掛金控除 小規模起業共済等掛金控除とは?確定拠出年金と比べて
生命保険料控除 生命保険料控除とは?家族の分も対象になります
地震保険料控除 地震保険料控除とは?年間保険料5万円以下なら全額控除されます
寄付金控除 寄付金控除とは?ふるさと納税も含まれます
寡婦・寡夫控除 寡婦・寡夫控除とは?年齢の制限はありません
勤労学生控除 勤労学生控除とは?職業訓練学校もOKです
障害者控除 障害者控除とは?16歳未満の扶養親族も対象です
配偶者控除配偶者特別控除 配偶者控除、配偶者特別控除とは?1-けっこう奥が深いです
配偶者控除、配偶者特別控除とは?2-いろんな壁があります
扶養控除 扶養控除とは?一緒に住んでいない親族も対象になります
東京都港区の税理士法人インテグリティまとめ

おわりに

家族の分の生命保険料を支払っているのに、生命保険料控除を受けるのを忘れている方がけっこういらっしゃいます。忘れずに控除を受けて節税してくださいね。ポイントは誰が契約しているのかではなく誰が支払っているかです。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

小規模企業共済等掛金控除とは?確定拠出年金と比べて

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

会社を退職して、フリーランス・個人事業主として独立、起業して自分の会社をつくった方は、老後の生活資金となる退職金にあたる蓄えを自分で準備しなければなりません。そんなフリーランス・個人事業主、起業家の方にとって、小規模企業共済や個人型確定拠出年金は退職金の代わりや公的年金の上乗せになり、豊かな老後の生活の支えになるでしょう。
しかも小規模企業共済や個人型確定拠出年金の掛け金を支払ったときには節税にもなるのです。

そこで今回は、小規模企業共済や個人型確定拠出年金の掛け金を支払った場合に、所得控除を受けることができる小規模企業共済等掛金控除について説明します。
特に、似ている制度である小規模企業共済と個人型確定拠出年金の比較、どちらに加入するべきかについてお話したいと思います。

小規模企業共済そのものについては、小規模企業共済で節税(フリーランス・個人事業主、法人の役員)を参照ください。

 

小規模企業共済等掛金控除とは

小規模企業共済等掛金控除とは、小規模企業共済の掛金、個人型確定拠出年金の掛金、心身障害者扶養共済の掛金を支払った場合に受けることができる所得控除です。

 

小規模企業共済等掛金控除として所得から差し引くことができる金額

小規模企業共済等掛金控除として所得から差し引くことができる金額は、その年に支払った掛金の全額です。

実際に支払った金額が対象となるので、12月31日時点でまだ払っていない分は、その年の小規模企業共済等掛金控除の対象にはならず、実際に支払った年の社会保険料控除の対象になります。
平成✕6年12月分の確定拠出年金の掛金について、口座に残高が足りず口座振替で支払うことができなかった場合は、平成✕6年の小規模企業共済等掛金控除には含まれません。

前納(前払い)した分の小規模企業共済の掛金については、前納した期間のうち1年内のものだけが、支払った年の小規模企業共済等掛金控除の対象になります。なお、確定拠出年金については、前納の制度はありません。

 

小規模企業共済等掛金控除を受けるには

フリーランス・個人事業主の方が小規模企業共済等掛金控除を受けるには、確定申告する必要があります。確定申告書の小規模企業共済等掛金控除の欄に記載して、支払った掛金の証明書を確定申告書に添付するか提示します。

なお、会社勤め、会社役員の方などは確定申告する必要はありません。「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」を年末調整時に会社に提出すればOKです。

 

小規模企業共済と個人型確定拠出年金の比較

小規模企業共済と個人型確定拠出年金を比較すると下表のようになります。

小規模企業共済 確定拠出年金
掛金の上限 月70,000円 月68,000円
掛金の下限 月1,000円 月5,000円
掛金の増額 かんたん かんたん
掛金の減額 めんどう かんたん
受取条件 廃業など 60歳から
一時金で受取 OK OK
年金で受取 OK OK
節税 掛金全額所得控除 掛金全額所得控除
予定利率 1.0% 運用成績による
途中解約 できる できない
インフレ 弱い 強い
運用先 不透明 自分で選ぶ
東京都港区の税理士法人インテグリティ調べ

 

小規模企業共済のメリット

  • 掛金を担保とした貸付制度がある
  • 途中解約ができる

 

小規模企業共済のデメリット

  • 途中解約すると元本割れする可能性がある
  • 毎月の掛金を減らすことが難しい

 

個人型確定拠出年金のメリット

  • リスク許容度に応じて運用先を選べる
  • 個人別に運用されるため、他とリスクが遮断される
  • 毎月の掛金を減らすことが簡単

 

個人型確定拠出年金のデメリット

  • 60歳になるまで受け取れない
  • 途中解約ができない
  • 掛金が少ないと手数料が割高になる

 

小規模企業共済と確定拠出年金、どちらが良いのか

このように、小規模企業共済と確定拠出年金は似ているようでけっこう違いがありますね。
そこで、どちらに加入すればいいのかということですが、事業の内容や年齢、家族構成などによってベストは変わってくるので一概にどちらが良いとは言えないのがツライとこです。

それではつまらないので、私ならどうするかということでお話したいと思います。

  1. 起業と同時に小規模企業共済を月1,000円からスタート
  2. 事業の安定に応じて、小規模企業共済を段階的に月30,000円まで増額
  3. さらに事業が安定してきたら、小規模企業共済の月30,000円にプラスして確定拠出年金に月20,000円で加入
  4. その後も事業の懐具合に合わせて、小規模企業共済と確定拠出年金の掛金が半々となるように増額していき、掛金上限を目指します

 

 

その他の所得控除

その他の所得控除につきましては、下表のリンク先のページを参照ください。

所得控除の名称 詳細を開設したリンク先
所得控除の一覧 所得控除まとめ
雑損控除 雑損控除とは?災害盗難横領の損害を確定申告で節税
医療費控除 医療費控除とは?医療費の範囲はけっこう広いです1
医療費控除とは?医療費の範囲はけっこう広いです2
社会保険料控除 社会保険料控除とは?実際に支払った分が対象です
小規模企業共済等掛金控除 小規模起業共済等掛金控除とは?確定拠出年金と比べて
生命保険料控除 生命保険料控除とは?家族の分も対象になります
地震保険料控除 地震保険料控除とは?年間保険料5万円以下なら全額控除されます
寄付金控除 寄付金控除とは?ふるさと納税も含まれます
寡婦・寡夫控除 寡婦・寡夫控除とは?年齢の制限はありません
勤労学生控除 勤労学生控除とは?職業訓練学校もOKです
障害者控除 障害者控除とは?16歳未満の扶養親族も対象です
配偶者控除配偶者特別控除 配偶者控除、配偶者特別控除とは?1-けっこう奥が深いです
配偶者控除、配偶者特別控除とは?2-いろんな壁があります
扶養控除 扶養控除とは?一緒に住んでいない親族も対象になります
東京都港区の税理士法人インテグリティまとめ

 

 

おわりに

小規模企業共済について、くわしくは、小規模企業共済で節税(フリーランス・個人事業主、法人の役員)を参照ください。
確定拠出年金については証券会社などのホームページが分かりやすくまとまっています。

仕事をリタイアするのなんてまだまだ先のこととお考えの方も、資金に余裕がある方はぜひ、小規模企業共済、個人型確定拠出年金に加入して節税するとともに将来に備えてください。とくに小規模企業共済は契約者貸付制度など、節税以外にもメリットがあります。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

社会保険料控除とは?実際に支払った分が対象です

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

健康保険や年金など毎月のお給料から差し引かれて支払っていたときは、あまり気にしていなかった方も、いざフリーランス・個人事業主として独立したり、起業して自分の会社をつくった方は、社会保険料の多さにビックリすることでしょう。

今回は、そんな社会保険料を支払った場合に、所得控除を受けることができる社会保険料控除について説明します。

 

社会保険料控除とは

社会保険料控除とは、自分または自分と生計を一にする家族の社会保険料を支払った場合、給料から差し引かれて社会保険料を支払っている場合などに受けることができる所得控除です。

社会保険料控除の対象となる社会保険料の例として下記のものがあります。国など公的なところに支払う保険料や年金保険料をイメージしてください。似ているもので生命保険会社などに支払う保険料は、社会保険料控除ではなく生命保険料控除の対象になります。

  • 健康保険料、厚生年金保険料
  • 国民健康保険料(税)、国民年金保険料
  • 後期高齢者医療保険
  • 介護保険料
  • 雇用保険料
  • 国民年金基金の掛け金
  • 厚生年金基金の掛け金
  • 公務員共済の掛け金

 

社会保険料控除として所得から差し引くことができる金額

社会保険料控除として所得から差し引くことができる金額は、その年に実際に支払った金額、その年の給料や公的年金から差し引かれた金額の全額になります。金額に制限はありあせん。

実際に支払った金額が対象となるので、12月31日時点でまだ払っていない分は、その年の社会保険料控除の対象にはならず、実際に支払った年の社会保険料控除の対象になります。
平成✕6年12月分の国民年金保険料について、平成✕6年12月31日時点で支払うのを忘れており、平成✕7年1月に支払った場合は、平成✕7年の社会保険料控除の対象になります。

過去の分をまとめて支払った場合は、支払った全額が支払った年の社会保険料控除の対象になります。

前納(前払い)した分の社会保険料については、前納した期間のうち1年内のものだけが、支払った年の社会保険料控除の対象になります。

 

家族の分の社会保険料を支払った場合

生計を一にする家族の社会保険料を支払った場合は、支払った方の社会保険料控除の対象になります。

例えば・・・

夫が妻や子供の国民年金保険料を支払った場合は、妻や子供ではなく支払った夫の社会保険料控除の対象になります。

年金をもらっている母親について、母親の年金から母親の介護保険料や国民年金保険料、後期高齢者医療保険料などが天引きされているが、子供が母親に保険料相当額を現金で渡すなどして実質的に保険料を負担している場合でも、子供の社会保険料控除の対象にはなりません。母親の保険料を子供の社会保険料控除の対象にするためには、子供の銀行口座から母親の保険料が口座振替で支払われるようにするなどの対策をとる必要があります。

 

社会保険料控除を受けるには

会社勤め、会社役員の方は、給料から保険料が天引きされているため、自分の保険料以外に社会保険料控除の対象がなければ、会社が手続きをやってくれます。
家族の分の社会保険料を社会保険料控除の対象に含めたい場合は、「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」に、社会保険料の種類、支払先、社会保険料を負担している人の名前と続柄、支払った社会保険料の金額を書いて、年末調整時に会社に提出します。国民年金の場合は、支払いを証明する書類も合わせて会社に提出します。

フリーランス・個人事業主の方は、確定申告をすることによって社会保険料控除を受けることができます。国民年金保険料の支払いについては、支払いを証明する書類を確定申告書に添付する必要があります。

 

その他の所得控除

その他の所得控除につきましては、下表のリンク先のページを参照ください。

所得控除の名称 詳細を開設したリンク先
所得控除の一覧 所得控除まとめ
雑損控除 雑損控除とは?災害盗難横領の損害を確定申告で節税
医療費控除 医療費控除とは?医療費の範囲はけっこう広いです1
医療費控除とは?医療費の範囲はけっこう広いです2
社会保険料控除 社会保険料控除とは?実際に支払った分が対象です
小規模企業共済等掛金控除 小規模起業共済等掛金控除とは?確定拠出年金と比べて
生命保険料控除 生命保険料控除とは?家族の分も対象になります
地震保険料控除 地震保険料控除とは?年間保険料5万円以下なら全額控除されます
寄付金控除 寄付金控除とは?ふるさと納税も含まれます
寡婦・寡夫控除 寡婦・寡夫控除とは?年齢の制限はありません
勤労学生控除 勤労学生控除とは?職業訓練学校もOKです
障害者控除 障害者控除とは?16歳未満の扶養親族も対象です
配偶者控除配偶者特別控除 配偶者控除、配偶者特別控除とは?1-けっこう奥が深いです
配偶者控除、配偶者特別控除とは?2-いろんな壁があります
扶養控除 扶養控除とは?一緒に住んでいない親族も対象になります
東京都港区の税理士法人インテグリティまとめ

 

 

おわりに

家族の分の社会保険料を支払っているのに、社会保険料控除を受けるのを忘れている方がたくさんいらっしゃいます。社会保険料は金額も大きいので、社会保険料控除でしっかりと節税してくださいね。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。