カテゴリー: 税金と節税

合計所得金額(損失の繰越控除の適用前)とは

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、合計所得金額(損失の繰越控除の適用)について説明します。

総所得金額については、総所得金額とは、を参照ください。(注:等はつきません)
総所得金額等については、総所得金額等とは、を参照ください。(注:等がつきます)

 

 

合計所得金額(損失の繰越控除の適用前)の計算方法

合計所得金額(損失の繰越控除の適用前)とは、下記の合計額をいいます。

  • 総所得金額
  • 申告分離課税の適用を受ける場合の上場株式等に係る配当所得の金額(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算の適用がある場合には、その適用後の金額)
  • 分離課税の土地や建物など短期譲渡所得の金額(特別控除前)
  • 分離課税の土地や建物など長期譲渡所得の金額(特別控除前)
  • 分離課税の株式等に係る譲渡所得等の金額
  • 分離課税の先物取引に係る雑所得等の金額
  • 山林所得金額
  • 退職所得金額

注意するポイント

損益通算の適用がある場合は、損益通算をした後の金額をいいます。ここは、総所得金額等と同じです。

損失の繰越控除の適用がある場合は、損失の繰越控除をする前の金額をいいます。ここが、総所得金額等と異なるところです。

損失の繰越控除の例は下記のとおりです。

  • 純損失の繰越控除
  • 雑損失の繰越控除
  • 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除
  • 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除
  • 上場株式等の譲渡損失の繰越控除
  • 特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除
  • 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除

 

 

合計所得金額(損失の繰越控除の適用前)に含まれないもの

合計所得金額(損失の繰越控除の適用前)に含まれないものとしては、例として下記のようなものがります。ここは、総所得金額等と同じです。

  • 非課税所得
  • 利子所得のうち源泉分離課税されるもの
  • 配当所得のうち源泉分離課税されるもの
  • 配当所得のうち確定申告を要しないもの(確定申告をすることを選択したものを除く)
  • 源泉分離課税とされる定期積金の給付補てん金等
  • 源泉分離課税とされる懸賞金付預貯金等の懸賞金等
  • 源泉分離課税とされる割引債の償還差益
  • 源泉徴収選択口座を通じて行った上場株式等の譲渡による所得等で確定申告をしないことを選択したもの

対して、免税所得の金額は合計所得金額に含まれるのでご注意ください。免税所得の例としては、肉用牛の売却による農業所得などがあります。

 

 

合計所得金額(損失の繰越控除の適用前)をつかう場面

合計所得金額(損失の繰越控除の適用前)をつかう場面の一例を紹介します。

  • 寡婦控除 → 合計所得金額が500万円以下(総所得金額等での判定もあり)
  • 寡夫控除 → 合計所得金額が500万円以下(総所得金額等での判定もあり)
  • 勤労学生控除 →  合計所得金額が65万円以下
  • 扶養控除 → 合計所得金額が38万円以下
  • 配偶者控除 → 合計所得金額が38万円以下
  • 配偶者特別控除 → 合計所得金額が38万円超76万円未満
  • 住宅借入金等特別控除 → 合計所得金額が3,000万円以下

 

 

おわりに

合計所得金額(損失の繰越控除の適用前)について理解できたでしょうか。
損失の繰越控除の適用をするが、合計所得金額(損失の繰越控除の適用前)
損失の繰越控除の適用をしたが、総所得金額等
と、覚えてください。

下の用語については別ページで解説しているので参照ください。
総所得金額とは
総所得金額等とは

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

確定申告をすると得をする方

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は確定申告をすると得をする方について説明します。

得をするパターンは、税金が戻ってくるパターン、損失を繰り越せるパターンの2種類があります。
なお、一般的なものをピックアップしており、網羅はしてないことをご了承ください。

確定申告をする必要がある方については、「確定申告をしなければいけない方」を参照ください。

 

 

確定申告とは

確定申告とは、その言葉どおり、

  1. 納める税金を自分で計算して「確定」させ
  2. 税金をこれだけ納めますよ、と税務署に「申告」する

ことです。

 

 

確定申告をすると税金が戻ってくる方

確定申告をする必要のない方でも、天引き(源泉徴収)された税金が納め過ぎになっている方は、確定申告をすることで税金が戻ってくる(還付)ことがあります。下記に当てはまる方は、税金を多く納めすぎていないかご確認ください。

 

 

配当をもらった方

上場株式等の配当は、確定申告をしないと所得の大きさにかかわらず2014年以降は20%(所得税15%+住民税5%、復興特別所得税を除く)の決まった税率がかかっています。所得の大きさによっては、この20%というのは税金を払い過ぎていることになります。

2014年以降では、配当所得を含めた課税所得金額が695万円以下であれば、確定申告をすると、配当について天引きされていた税金の一部が戻ってきます。

 

 

医療費をたくさん支払った方

財布が同じ家族の1年間に支払った医療費の合計が10万円を超える方は、確定申告をすることで医療費控除という所得控除を受けることができるので、確定申告をすることにより税金の一部が戻ってきます。

医療費控除について詳しくは次のページを参照ください。
医療費控除とは?医療費の範囲はけっこう広いです1
医療費控除とは?医療費の範囲はけっこう広いです2

 

 

災害や盗難、横領などで資産に損害を受けた方

災害や盗難、横領などで、生活に通常必要な住宅、家具、衣類などの資産に損害を受けた方は、確定申告することで雑損控除という所得控除を受けることができるので、確定申告をすることにより税金の一部が戻ってきます。なお、詐欺や恐喝による損害の場合は雑損控除は受けられません。

雑損控除について詳しくは次のページを参照ください。
雑損控除とは?災害盗難横領の損害を確定申告で節税

 

 

年末調整のときに報告するのを忘れていた方

下記に該当する方は、各種の所得控除を受けることができる可能性があります。所得控除を受けることができる場合は確定申告をすることにより税金の一部が戻ってきます。

  • 年末調整のときに生命保険料控除、地震保険料控除を受けるのを忘れていたい方
  • 年末調整のときに、扶養家族が増えた、結婚した、離婚したことを報告するのを忘れていた方

生命保険料控除については、「生命保険料控除とは?家族の分も対象になります」を参照ください。
地震保険料控除については、「地震保険料控除とは?年間保険料5万円以下なら全額控除されます」を参照ください。
扶養控除については、「扶養控除とは?一緒に住んでいない親族も対象になります」を参照ください。
配偶者控除・配偶者特別控除については、下記をご参照ください。
配偶者控除、配偶者特別控除とは?1-けっこう奥が深いです
配偶者控除、配偶者特別控除とは?2-いろんな壁があります

 

 

年の途中で退職した方

その年の途中で退職した方で、年末調整を受けておらず、その年に他の所得がない方は、確定申告をすることにより税金の一部が戻ってくる可能性があります。

お給料から天引きされる税金は、1月から12月まで1年間働くと仮定して計算されます。そのため、年の途中で退職した場合は、必要以上に税金を天引きされていたことになります。その税金を確定申告で取り戻せる可能性があります。

 

 

退職金をもらった方

その年の退職金以外の所得(1月から退職までもらった給与所得など)よりも各種所得控除の額が大きい方は、確定申告をすることにより税金の一部が戻ってきます。

所得が少なくて使い切れなかった所得控除を、確定申告により退職所得からマイナスすることで、退職金受け取り時に天引きされた税金を返してもらうのです。

また、退職金をもらった時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していなかったため、余計に税金を天引きされていた方も、確定申告により税金の一部が返ってきます。

 

 

寄付をした方

国、地方公共団体、公益を目的とする事業を行う法人や団体のうち財務大臣が指定したものなどに寄付をした方は、所得控除(寄附金控除)や税額控除を受けることができ、確定申告により税金の一部が返ってきます。

寄付金控除について詳しくは次のページを参照ください。
寄付金控除とは?ふるさと納税も含まれます

 

 

家をローンで買った方

家をローンで買った方は、要件を満たせば住宅借入金等特別控除を受けることができますが、これは有名ですから、家をローンで買った方で知らない方はいないと思います。

その他にも家の増改築、改修工事などをした場合にも税制優遇はあります。
ローンを組まずに現金で家を買った場合でも、長期優良住宅に該当すれば税制優遇があります。

 

 

確定申告をすると損失が繰り越せる方

確定申告をすることで、来年以降に損失の繰越ができる、すなわち来年以降の税金を安くすることができることがあります。下記に当てはまる方は、損失を繰り越せるかどうか確認ください。

 

 

純損失の繰越控除

青色申告の事業所得、不動産所得が赤字で、その赤字を他の所得から控除しきれない方は、純損失の繰越控除ができます。

純損失の繰越控除について詳しくは次のページを参照ください。
純損失の繰越控除-フリーランス・個人事業主が青色申告するメリット

 

 

雑損失の繰越控除

災害や盗難、横領などで資産に損害にかかる雑損控除の金額を、その年の所得から控除しきれない方は、雑損失の繰越控除ができます。

雑損失の繰越控除について詳しくは次のページを参照ください。
雑損控除とは?災害盗難横領の損害を確定申告で節税

 

 

おわりに

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

確定申告をしなければいけない方

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は確定申告をしなければいけない方について説明します。

確定申告をしなくてもいいけど、確定申告をすると得する方については、「確定申告をすると得をする方」を参照ください。

 

 

確定申告とは

確定申告とは、その言葉どおり、
納める税金を自分で計算して「確定」させ
税金をこれだけ納めますよ、と税務署に「申告」する
ことです。

 

 

確定申告をしなければいけない方の一例

所得については色々と区分が分かれていますが、儲かったら確定申告する必要がある、ただし例外あり、と覚えてください。迷ったら税理士や税務署に相談してみましょう。

所得税の確定申告をしなければならない方の一例は以下とおりです。

 

 

利子所得があった方

利子所得があった方については、預貯金や公社債などは利子を受け取る時点で税金が引かれるので、基本的に確定申告をする必要はありません。

ややこしいですが貸付金の利息については、利子所得ではなく雑所得や事業所得になるので確定申告しなければならない場合があります。

 

 

配当所得があった方

株式の配当、投資信託の収益分配金をもらうなどで配当所得があった方は確定申告をする必要があります。

証券会社の口座を特定口座(源泉徴収あり)の確定申告不要制度を選んでいる方は確定申告をする必要はありません。

 

 

不動産所得があった方

土地や建物など不動産を貸して、不動産所得があった方は確定申告をする必要があります。

 

 

山林所得があった方

山林を伐採して譲渡したり、立木のまま譲渡するなどで山林所得があった方は確定申告をする必要があります。

 

 

事業所得があった方

農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などの事業をやっていて事業所得があった方は確定申告をする必要があります。

不動産を貸している方は、事業所得ではなく不動産所得になります。

 

 

給与所得があった方

一般的に、会社から給料をもらっている方など給与所得のみの方の場合は、会社がやってくれる源泉徴収と年末調整で済むので、確定申告をする必要はありません。
ただし、下記に当てはまる方などは給料だけをもらっている方であっても確定申告が必要になります。

  • 給与の収入金額が2,000万円を超える方
  • 給与を1つの会社からもらっていて、給与所得と退職所得を除いた所得が20万円を超える方
  • 給与を2つ以上の会社からもらっていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と、給与所得と退職所得を除いた所得が20万円を超える方

 

 

退職所得があった方

普通は退職金をもらった時に会社が源泉徴収して税金を納めてくれるので、退職所得については、基本的には確定申告は不要です。源泉徴収されないもの(外国企業からもらうなど)については、確定申告が必要です。

 

 

譲渡所得があった方

資産を譲渡して譲渡所得があった方は確定申告をする必要があります。

有償無償は問わないのでタダであげたとしても、譲渡所得が発生する場合があるので注意してください。ここでいう資産とは、土地、建物、株式等、金地金、宝石、書画、骨とう、特許権、著作権などが含まれます。家具、通勤用の自動車、衣服など生活に通常必要な動産は含まれません。

土地や建物など不動産を譲渡した場合は、様々な節税方法があるので税理士に相談することをオススメします。

なお、株式等の譲渡には配当所得と同様に申告不要制度があります。

 

 

一時所得があった方

一時所得があった方は確定申告をする必要があります。

例えば、

懸賞や福引に当たった方、公営ギャンブルで儲けた方
生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金をもらった方
会社から金品をもらった方(注:人から金品をもらったら贈与税の申告が必要となります)

などなど、労力を要せず偶然儲かった場合をイメージしてください。

 

 

雑所得があった方

上記のいずれにも該当しなくても、所得があった場合には、雑所得として確定申告をする必要があります。

 

例えば、

事業に至らない程度の事業による所得があった方(税務署が事業と認めてくたら事業所得、認めてくれなければ雑所得になります)
年金をもらっている方
本業ではないアフィリエイトやネットオークション、原稿料や講演料などによる所得があった方

 

 

確定申告をしないと税務署にバレる?

確定申告をしないと、税務署にバレるのでしょうか?はっきり言いますがバレます。取引先の取引データやタレコミなど税務署の情報源は広範囲にありあます。

少ない金額だから、海外との取引だから、ネットでもうけたからetc、バレないだろうと思っている人もいるでしょう。昔はそうだったかもしれません。しかし今は違います。税務署の調査能力はとても優秀です。しかもその能力は年々進化しています。

少ない金額だからバレない → 昔は限られた税務署の職員の数から、どうしても金額的に重要なところの調査を優先していましたが、IT化が高度に進んだ現在においては少ない人員でも効率的に調査できるようになっています。

海外との取引だからバレない → 海外との取引だからといって、国内で活動している以上その痕跡は残ります。国内の得意先、仕入先からのデータをもとに調査したり、海外税務当局との連携から情報を得たりと、みなさんが考えている以上に税務署の情報網は広くはりめぐらされています。

ネットでもうけたからバレない → 個人でもアフィリエイトなどで簡単に副収入を得られるようになりましたが、それを見逃してくれるほど税務署は甘くありません。電子商取引を専門としたIT部隊にいる情報技術専門官が、ある日あなたの家を訪問するかもしれません(訪問時点である程度の証拠は掴んでいるので、もう逃げられません)。

 

 

まとめ

所得税の確定申告をしなければいけない人というのは、所得税を納めなければいけない人とほぼイコールになります。

税金を納めないといけないのに納めないとどうなるのか。その後発覚したら、本来納める必要があった税金にプラスして、ルールを破ったバツとしての追加の税金を納めなければなりません。

基本的に儲かったら確定申告する必要があるので、忘れずに確定申告をしましょう。
自分が確定申告しなければいけないのか分からない場合は、放置するのではなく税理士や税務署に相談してみてください。税理士なら節税についても相談にのってくれるはずです。

 

 

おわりに

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

育児休暇中の妻を夫の控除対象配偶者にして節税

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、育児休業している妻を夫の控除対象配偶者にして節税する方法を紹介します。

妻がフルタイムで働いている夫婦共働き世帯は年々増加しています。このときは妻にも相当程度の所得があるため、夫は妻を控除対象配偶者にはしていないと思います。しかし、妻が育児休暇中の場合、夫の控除対象配偶者に入ることで節税できるかもしれません。

 

 

配偶者控除の概要

配偶者控除とは、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいるときは、所得を38万円減らして税金を安くしてあげますよ、という制度です。所得500万円の人の所得が38万円減ると10万円ちょい税金(所得税+住民税)が安くなります。

 

 

控除対象配偶者の要件

控除対象配偶者とは、その年の12月31日時点で、下の5つ全てに当てはまる人をいいます。

  1. 民法の規定による配偶者である(内縁関係は該当しない)
  2. 納税者と生計を一にしている → イメージとしては同じお財布で生活している感じです
  3. 年間の合計所得金額が38万円以下である
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない
  5. 白色申告者の事業専従者でない

 

 

配偶者特別控除の概要

配偶者特別控除とは、配偶者の所得が38万円を超えるため配偶者控除が受けられないときでも、配偶者の所得が38万円超76万円未満であるならば、所得を3万円~38万円減らして税金を安くしてあげますよ、という制度です。配偶者の所得が76万円に近づくにつれ減らしてくれる所得の金額は減少していきます。

 

 

配偶者特別控除を受けるための要件

配偶者特別控除を受けられるのは、控除を受ける人のその年における合計所得金額が1千万円以下であり、かつ配偶者が、下の6つ全てに当てはまる場合です。

  1. 民法の規定による配偶者である(内縁関係は該当しない)
  2. 納税者と生計を一にしている
  3. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じ一度も給与の支払を受けていない
  4. 白色申告者の事業専従者でない
  5. ほかの人の扶養親族となっていない
  6. 年間の合計所得金額が38万円超76万円未満である

 

 

妻の年間の合計所得金額が78万円未満

妻の合計所得金額が78万円未満となれば夫の税金が安くなる可能性がありますが、妻もフルタイムで働いている場合、年間の合計所得金額が76万円(給与額面で141万円)以上となることが多いと思います。
そして、赤ちゃんが生まれて妻が育児休業に入り育児休業給付金をもらえるようになっても、けっこうな額の育児休業給付金がもらえるため、夫の控除対象配偶者には入れないと思っている人が大半です。

 

 

出産育児関連の公的給付は非課税

出産したときにもらえる出産育児一時金、出産の前後一定期間にもらえる出産手当金、育児休暇中にもらえる育児休業給付金は、非課税所得なので所得金額には含まれません。よって妻が育休に入り、1~12月の間に妻が会社からもらったお給料が141万円未満であるならば、夫の控除対象配偶者もしくは特別配偶者控除をうけることができて、夫の税金が安くなる可能性があります。もちろん、妻は会社に籍を置いたままでも大丈夫です。

 

 

やりかた

会社勤めの方は、年末調整で受けることができます。会社の経理もしくは人事に配偶者控除を受けたい旨を伝えて、「給与所得者の扶養控除等(異 動)申告書」又は「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」に妻の名前と所得を書いて会社に提出するだけで終わりです。

フリーランス・個人事業主の方など、それ以外の方は確定申告で行うことになります。

 

 

まとめ

もったいないことにこの節税を行っている人はとても少ないです。夫婦共働き世帯でも、妻が育休に入ったら、配偶者控除で夫の税金を減らせるか検討してみてください。出産育児関連の公的給付を除いて妻が1~12月の間に会社からもらったお給料が141万円未満なら節税できます。

 

 

おわりに

配偶者控除、配偶者特別控除につきましては次のページも参照ください。
配偶者控除、配偶者特別控除とは?1-けっこう奥が深いです
配偶者控除、配偶者特別控除とは?2-いろんな壁があります

 

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

社会保険料の削減(個人事業主、法人)

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は節税ではありませんが、同じ効果がある社会保険料削減のお話をしたいと思います。

 

 

社会保険の概要

社会保険とは一般的に健康保険と厚生年金、労働保険(雇用保険と労災保険)のことを言います。法人は従業員の有無を問わず全ての法人に加入義務があり、個人事業主は5人以上の従業員がいる場合(一部の業種を除く)に加入義務があります。

 

 

社会保険料

健康保険と厚生年金の保険料は労使折半です。事業主(法人、個人事業主)が半分、従業員が半分支払います。雇用保険の保険料は事業主が多めに支払い、労災保険の保険料は事業主が全額支払います。
この社会保険料の負担はバカにならないので、なんとか削減したいと考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。

 

 

社会保険料の削減

以下においては狭義の社会保険(健康保険と厚生年金)についてお話します。
社会保険の保険料は、毎月のお給料の金額をもとにして標準報酬月額が決まって、その標準月額報酬に保険料率を乗じて計算されます。

 

具体的な数字でみてみましょう。

 

標準報酬月額は、「報酬月額〇〇円以上〇〇円未満 標準報酬月額〇〇円」というように決定されます。自分の会社の健康保険組合を持っていない中小企業が加入している全国健康保険協会(協会けんぽ)の東京の平成26年度の場合はこうなっています。

  • 月額報酬が290,000円以上310,000円未満の場合 → 標準報酬月額は300,000円
  • 月額報酬が310,000円以上330,000円未満の場合 → 標準報酬月額が320,000円

このように毎月のお給料の金額の範囲があって、その範囲内では一律で標準月額報酬が決められてしまうのです。上記の例ですと、毎月のお給料が310,000円と309,990円と10円違うだけで、標準月額報酬は20,000円も差が出てしまうのです。

 

保険料は標準月額報酬に保険料率を乗じて計算されるので、標準月額報酬が下がれば保険料は安くなります。

 

事業者負担分 保険料 従業員負担分 保険料
お給料 標準月額報酬 健康保険 厚生年金 合計 健康保険 厚生年金 合計
309,990円 300,000円 17,535円 25,680円 43,215円 17,535円 25,680円 43,215円
310,000円 320,000円 18,704円 27,392円 46,096円 18,704円 27,392円 46,096円
差額 10円 20,000円 1,169円 1,712円 2,881円 1,169円 1,712円 2,881円

310,000円のお給料を309,999円にするだけで、事業主と従業員の双方が保険料を毎月2,881円削減することができます。事業主は2,881円節約できるし、従業員はお給料の額面が10円減ってしまいますが、手取りは2,871円増えることになります。

2,881円の削減なんて大したことないと思われてしまうかもしれませんが、
従業員が10名いるとすると、1年間で345,720円、10年間で3,457,200円の削減になります。

  • 2,881円×12か月×10名=345,720円
  • 345,720円×10年=3,457,200円

従業員が100名いるとすると、1年間で3,457,200円、10年間で34,572,000円の削減になります。

  • 2,881円×12か月×100名=3,457,200円
  • 3,457,200円×10年=34,572,000円

このように社会保険料削減のポイントは、給料を標準月額報酬が繰り上がる直前の金額に設定することにあります。

小さな節約でも積み上がれば大きな金額になりますね。

お給料の額を決めるときには、ぜひ標準月額報酬の金額の境目を意識してください。
社会保険料の削減についてお話しましたが、ここでは理解を目的に詳細を省いてざっくりと説明したので、実際の運用の際には税理士や社会保険労務士にご相談ください。

 

 

おわりに

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

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