カテゴリー: 税金と節税

不要な資産を処分して節税-固定資産除却損

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、固定資産除却損という不要な資産を処分して節税する方法について解説したいと思います。

 

固定資産除却損で節税

保有している固定資産を処分したときは、その処分した固定資産の帳簿価額(買った値段から、今まで計上した減価償却費の累計をマイナスした価額)を固定資産除却損として、フリーランス・個人事業主の必要経費、株式会社などの法人の損金にすることができます。必要経費や損金にできるということは、それだけ所得が減るので節税になります。

使わない資産はいつまでも放置せずに、ササッと処分してしまって固定資産除却損を計上して節税すると良いですよ。

サービス業などではあまり多くの固定資産はないかもしれませんが、製造業などの場合は忘れ去られている固定資産は意外とあるものです。年に1回は固定資産台帳と現物を照合して、使っていない固定資産をピックアップして処分することで節税すると共に、スッキリしましょう。

 

固定資産を処分

固定資産を処分するとは、解撤、解体、破砕などして廃棄や撤去することをいいます。

皆さんのイメージする「処分」という言葉どおりでだいたい合っていると思います。

 

有姿除却

使っていない大きな機械設備を処分して節税したいけど、廃棄や撤去するには費用が結構かかるし、すぐには処分できない、という場合があると思います。そんなときは有姿除却という方法をとると実際に処分しなくても固定資産除却損を計上できるようになります。

有姿除却できるのは、その固定資産が下記に該当するような場合です。

  1. その使用を廃止して、今後は通常の方法によって事業で使う可能性がない固定資産
  2. 特定の製品の生産や製造のために使われていた設備などで、その製品の生産・製造を中止したため、今後使用される可能性のほとんどないことが明らかな固定資産

このように固定資産を有姿除却するためには、一時的な使用中止ではなく、この先その固定資産が使わる可能性がないことが条件になります。使われる可能性がないことを客観的に説明できなければいけません。税理士に相談して有姿除却するに至った経緯などをまとめた書類を残しておくといいと思います。税務調査では有姿除却について説明するのにこの書類が役立ちます。

 

ソフトウェアも除却できます

姿かたちのある有形固定資産だけでなく、無形固定資産であるソフウェアも除却して節税することができます。使っていないソフトウェアをチェックするのは忘れがちです。固定資産台帳と現物を照合する際は、ソフトウェアについても使用している人を確認して、未使用のソフトウェアはアンインストールして除却してしまいましょう。

ソフトウェアを除却できるのは下記に該当するような場合です。有姿除却と同様に、下記に該当することが、客観的にも明らかでないといけないので、そのソフトウェアを除却するに至った経緯などをまとめた書類を残しておくといいと思います。税務調査ではソフトウェアの除却について説明するのにこの書類が役立ちます。

自分で使う、自社で使うソフトウェアの場合

  • そのソフトウェアを使って行っていた業務が廃止されて、そのソフトウエアを使わなくなった
  • ハードウェアやオペレーティングシステムの変更などで、他のソフトウェアを使うことになったため、今まで使っていたソフトウェアを使わなくなった

販売するためのソフトウェアの場合

  • 新製品の発売、バージョンアップなどによって、この先販売されないことになったソフトウェア

 

おわりに

固定資産除却損という不要な資産を処分して節税する方法は、追加の支出がいらないとても有効な節税方法です。フリーランス・個人事業主の方は年末、株式会社などの法人の場合は決算のときに、使い道のない不要な固定資産を処分して節税してください。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

ネットで税金や節税について調べるときの注意点

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

皆さんは税金や節税についての調べものをするときにどうしていますか?税務署に問合せますか?それとも書籍を読みますか?今はインターネットで検索して探す方が多いと思います。

今回は、そんなネットで税金や節税について調べるとの注意点について説明したいと思います。

 

インターネット検索で節税や税金について調べる

節税や税金について調べるために、インターネットでGoogleやYahoo!などで検索すると、Yahoo!知恵袋やOKWaveなどの質問回答サービス、税理士などの専門家や、それ以外のホームページやブログ、NEVERまとめ、国税庁のホームページなど色々出てきます。これらの情報をどう使えばよいのでしょうか。たくさんありすぎて迷ってしまいますよね。

こんなときは、その記事の発信者は誰かで記事を読む姿勢を変えると良いと思います。

 

記事の発信者が匿名の場合

Yahoo!知恵袋やOKWaveなどの質問回答サービス、NEVERまとめ、身元が分からない人や組織のホームページやブログなど記事の発信者が匿名の場合については、基本的に参考にしない方がいいと思います。

細かく調べるのではなく、ざっくりと概要を知りたいだけだからいいじゃないか、とお考えの方も多いと思います。しかし残念ながら、その概要ですら間違っていることが少ないくないのです。特にYahoo!知恵袋やOKWaveなどのベストアンサーが間違っていて、それ以外のアンサーに正しいことが書いてあることが目につきます。その記事が正しいかどうかを調べるのに余計な時間を費やすならば、はじめから見ない方が得策です。

 

記事の発信者が実名の税理士の場合

税理士のホームページやブログ、税理士が寄稿した記事など発信者が実名の税理士の場合は、参考に値すると思います。しかし、その1つの記事だけ読んで終わるのではなく、別の実名の税理士の記事も3つほど合わせて読んで、情報の補完をしてください。

注意して欲しいのは、税理士の記事でも、読み手の大まかな理解を前提にしており、詳細は省いて分かりやすく書かれているものがほとんどである、ということです。間違ったことが書かれている可能性は低いと思いますが、網羅的に書かれているとは限りません。
税金や節税のもとになる税法や通達には、適用するための要件などが非常に細かく定められています。だからといって、これらをブログやホームページに書いてしまうと、概要の理解どころか読んでもらえなくなってしまいます。

実名税理士のホームページやブログの記事については、概要の大まかな理解のために活用しましょう。

 

実際に節税の手法やテクニックを使いたい場合

実際に節税の手法やテクニックを使いたい場合は、やはり税理士に相談するのが一番です。自分の独断でやってみた節税策について、要件が足りないことを税務調査で指摘されて、追加で多額の税金を払うハメになってしまっては元も子もありません。

ちゃんとした税理士ならば、節税策を使おうと思ったときは、その根拠となる税法や通達などの条文をじっくり読み込んで使えるかどうか検討してくれると思います。

 

おわりに

私も仕事関係でインターネットで調べものをすることはよくあります。その際は情報の発信者を確認するのはもちろん、なるべくその情報の源(ソース)までさかのぼって調べるようにしています。インターネットは便利ですが、情報の取捨選択がますます大切になってきますね。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

交際費のうち飲食費の50%が損金になります(法人)

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

個人であるフリーランス・個人事業主の方にくらべて、法人である会社の場合は、交際費として損金(税金計算上の費用)にできる金額に縛りがありました。
今回は、そんな法人であっても、交際費のうち飲食費の50%が損金として認められるようになった法人税の制度について解説したいと思います。

 

交際費等のうち飲食費の50%が損金

交際費等のうち飲食費の50%を損金にすることができます。

この飲食費の50%を損金にできる制度、交際費から除かれる5,000円以下飲食費の制度、800万円までの交際費の定額控除の制度の関係は下図のようになります。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した交際費飲食費の図

中小法人は、飲食費の50%を損金にできる制度と、800万円までの交際費の定額控除の制度のどちらか有利な方を選ぶことになります。
大企業などは、飲食費の50%を損金にできる制度のみが適用できます。

 

適用される会社

中小企業に多い税金の特例ですが、この飲食費の50%を損金にできる制度には、会社の規模による制限はありません。大企業にも適用されます。いままで交際費は1円たりとも損金にならなかった大企業にとってはとても嬉しい制度ですね。

中小法人といわれる資本金が1億円以下の会社の場合は、この飲食費の50%を損金にできる制度と800万円までの交際費の全額を損金にすることができる制度との選択適用になります。選択適用なので、より節税になって税金が安くなる有利な方を選ぶことができますが、両方の制度を同時に適用することはできません。中小企業なら一般的に800万円の交際費控除の方が有利になると思いますが、どちらがお得になるか税理士と相談して決めてくださいね。
800万円までの交際費が全額損金になります(法人)」も参照ください。

 

注意するポイント

交際費のうち飲食費が対象となるので、飲食費以外の交際費は対象外になります。

交際費のうち飲食費が対象となりますが、5,000円以下の飲食費はそもそも交際費から外されます。よって5,000円以下の飲食費は、その50%が損金になるのではなく、全額が損金になります。
5,000円以下の飲食費を交際費から外して節税(法人)」も参照ください。
よって、交際費のうち50%が損金となる飲食費は、この5,000円以下飲食費を除いたものになります。

また、飲食費であっても、社内飲食費といわれるその会社の役員、従業員、その家族のみでの飲食費も対象外となります。

 

適用される事業年度

交際費のうち飲食費の50%が損金になる制度が適用される事業年度は、平成25年4月1日から平成28年3月31日までにスタートする事業年度に適用されます。

 

おわりに

この制度は中小企業よりも大企業にありがたい制度ですね。中小企業にはもっとうれしい800万円までの交際費の定額控除制度がありますから。

交際費関連については下記も参考にしてください。
なぜ法人の交際費は認められないのか
5,000円以下の飲食費を交際費から外して節税(法人)
800万円までの交際費が全額損金になります(法人)

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

800万円までの交際費が全額損金になります(法人)

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

個人であるフリーランス・個人事業主の方にくらべて、法人である会社の場合は、交際費として損金にできる金額に縛りがありました。
今回は、そんな法人のうち中小の会社については800万円までの交際費が損金として認められるようになった法人税の制度について解説したいと思います。

交際費800万円の定額控除限度額の特例措置

資本金などが1億円以下の中小法人といわれる会社においては、支出した交際費のうち800万円までの分については、その全額が損金として認められます。支出した交際費が対象なので、飲食費はもちろん、飲食費以外の交際費も含まれます

いままでは、支出した交際費のうち600万円までしか損金として認められず、それに加えて600万円までの交際費についても、そのうち損金として認められるのは90%だけで、残りの10%については損金として認められませんでした。

このような特例措置が設けられた理由は2つあります。

  • 中小企業が事業活動を営むうえで、交際費はなくてはならない支出である。その交際費の縛りを緩めて事業の回復につなげてほしい。
  • 中小企業にいっぱいお金を使ってもらって経済を活性化してほしい

具体的な数字でみてみると例えば、中小法人が交際費として1年間で1,000万円を支払ったとします。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した交際費の図

今までは1,000万円のうち、460万円は損金になりませんでした。損金として認められたのは540万円だけです。
それが、1,000万円のうち、損金にならないのは200万円だけです。800万円はまるまる損金として認められることになりました。
その差はなんと260万円です。

1年間の交際費が100万円だったとしても、今までは90万円しか損金として認めてもらえなかったものが、100万円の全額が損金として認められるようになります。その差は10万円。細かい節税策よりもよっぽど効果的な節税になりますよ。

適用される会社

資本金の額や出資金の額が1億円以下の法人に適用されます。

しかし、資本金の額や出資金の額が1億円以下の法人であっても、資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人の100%子法人などの場合は、適用されません。

適用される事業年度

交際費800万円の定額控除限度額の特例措置が適用される事業年度は、平成25年4月1日から平成26年3月31日までにスタートする事業年度でしたが、終わりが2年間延長されることになりまして、平成28年3月31日までにスタートする事業年度に適用されます。

おわりに

この交際費800万円までの定額控除の制度は特例措置なので、適用する事業年度にはご注意ください。今のところは、平成28年3月31日までにスタートする事業年度に適用されることになっています。

交際費関連については下記も参考にしてください。
なぜ法人の交際費は認められないのか
5,000円以下の飲食費を交際費から外して節税(法人)
「交際費のうち飲食費の50%が損金になります(法人)」

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

5,000円以下の飲食費を交際費から外して節税(法人)

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、1人あたり5,000円以下の飲食費交際費から外して節税する方法について解説したいと思います。

 

交際費の制限

法人が支払った交際費は、原則として法人の損金になりません。資本金が1億円以下の法人については一定額だけ損金にすることが認められていますが上限があります。

法人の実効税率が35.64%だとします。
100万円の支払いが損金になれば、税金が35.64万円減ることになるので、実質的な支出は64.36万円で済むことになります。
100万円の支払いが損金にならないと、税金が減ることはないので、実質的な支出も100万円に変わりありません。
支払いが損金になるかならないかで、手もとに残るお金に大きな差がでます。

このため、本来なら交際費となるような支払いについて、交際費から外すことができれば、節税になって手もとにお金が多く残るのです。

 

1人あたり5,000円以下の飲食費

1人あたりの飲食費が5,000円以下のものは、交際費から外すことができます。ただし、交際費から外すためには下記事項を記載した書類を保存しなければなりません。

  1. 飲食した日付
  2. 飲食に参加した取引先や事業関係者などの名称・氏名、会社との関係性
  3. 飲食に参加した人数
  4. 費用の金額、飲食店の名称と所在地
  5. その他参考となるべき事項

1と4は領収書に記載があるので、2、3、4について領収書などに忘れずにメモ書きして保存するとともに、会計帳簿をつける際に摘要欄に書いておきましょう。

 

1人あたりの金額の計算方法

1人あたりの金額の計算は下記のように行います。

飲食費として支出した額 ÷ 飲食に参加した人数(社外+社内) = 1人あたりの金額

1人あたりの金額は、
税抜経理の場合、消費税は含めません。
税込経理の場合、消費税を含めます。

 

1人あたり5,000円以下の飲食費の注意ポイント

下記において「対象になる」とは、1人あたり5,000円以下の飲食費の対象となって交際費から外すことができることをいいます。
「対象外」とは、1人あたり5,000円以下の飲食費の対象にならないため交際費から外すことはできません。

社内飲食費といわれる役員や従業員、その家族だけの飲食費は5,000円以下でも対象外です。取引先など事業に関係ある外部の人が参加していないとダメです。

取引先など事業に関係ある外部の人が1人でも参加していれば対象になります。
社内飲食費を免れるために形式的に社外の人を参加させても対象外になります。

お中元やお歳暮、プレゼントなどは、5,000円以下で中身が飲食品であっても対象外です。

飲食店に支払うサービス料やチャージ料は対象になります。

タクシー代などの送迎費用は対象外です。

領収書へのメモ書きや帳簿の摘要欄の記載は、「○○会社△△部の誰々部長ほか3名、得意先」などでOKです。

親会社や子会社の役員・従業員との飲食費は対象になります。資本関係が100%でも連結法人でも対象になります。

5,000円以下飲食費にするために、1つの飲食について領収書を分割したり、参加者を偽ったり、参加者の人数を水増ししたりすることは、事実の隠ぺい又は仮装になるので絶対にしないでください。見つかったらきついペナルティを受けることになります。税務調査で怪しいと思ったら、飲食店や取引先などに裏を取ることもありますよ。

 

おわりに

飲食するたびに、必要事項を記載して残しておくことは、初めは面倒ですがすぐに慣れると思います。決算になってから慌てて思い出しながら記載するのはとても大変なので、飲食するたびに忘れずに記載することを習慣にしてくださいね。

交際費関連については下記も参考にしてください。
なぜ法人の交際費は認められないのか
800万円までの交際費が全額損金になります(法人)
「交際費のうち飲食費の50%が損金になります(法人)」

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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