アーカイブ: 2014年12月

消費税の税務調査 原則課税の場合

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として港区や渋谷区、新宿区など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援してきた経験から、株式会社などの法人の方、フリーランス・個人事業主などの個人の方の税金や節税について解説します。

今回は、消費税の計算を原則課税で行っている場合の税務調査について説明したいと思います。

 

 

消費税の原則課税とは

消費税の納税額の計算は、原則として原則課税という方式で行います。
原則課税では、下記の計算式で納税額(地方消費税含む)を計算します。

売上高(税抜き課税売上高) × 8% - 仕入高(税込みの課税仕入高) × 8/108

売上が5,000万円以下の事業者で消費税の納税額の計算を簡易課税で行っている場合は下記ページを参照ください。
消費税の税務調査 簡易課税の場合

 

 

消費税の税務調査

消費税の税務調査は、原則課税であっても簡易課税であっても原則的には、法人税や所得税の税務調査と同時に行われます。しかし、消費税の還付申告を行った場合や、赤字であった場合などは、消費税だけが調査されることもあります。

消費税の税務調査では、特に簡易課税ではなく原則課税の場合は、必ずと言っていいほど誤りを指摘されてしまいます。消費税はキチンと計算するのがなかなか難しい税金であるといえます。

 

 

消費税の区分

税務調査で消費税について指摘される誤りのほとんどは、
「消費税がかかる取引なのか、消費税がかからない取引なのか」の
区分を間違っていることによるものになります。

 

消費税がかかる取引のことを課税取引といいます。

消費税がかからない取引は、さらに非課税取引、免税取引、不課税取引に区分されます。

  • 本来であれば消費税がかかる取引であるが政策的に課税しない取引のことを非課税取引といいます。
  • 輸出取引など消費税が免除される取引を免税取引といいます。
  • そもそも消費税の対象にならない取引のことを不課税取引といいます。

 

税務調査では取引について、消費税の区分を課税取引、非課税取引、免税取引、不課税取引に正しく区分されているかが細かくチェックされるのです。

例えば、経費を支払ったときに、消費税がかからない取引であるのに、消費税がかかる取引であると会計ソフトに入力してしまったとすると、納める消費税の金額が少なくなってしまいます。

 

 

 

原則課税の税務調査

消費税を原則課税で計算している場合は、次のようなポイントを中心に税務調査で調べられます。
原則課税の税務調査は、仕入れや経費についての消費税を調査する必要があるので、簡易課税の税務調査に比べるとボリュームが多くなります。

 

売上高

課税売上高がもれなく集計されているかどうかが調査されます。
売上高だけでなく、受取賃料など営業外利益や特別利益に含まれるものについても課税取引に該当するものは課税売上高に含めなければなりません。
また、車や備品など資産を売った場合の収入も課税売上高になります。下取りがある場合は、その下取り価格が課税売上高になるので注意してください。

 

仕入や経費

仕入や経費などについても消費税の区分を正しく行っているか、特に消費税がかからない非課税取引や不課税取引を、消費税がかかる課税取引として処理していないかが調査されます。

消費税区分の誤りが多い下記の勘定科目が重点的に調査されます。

  • 給料
  • 交際費
  • 会議費
  • 福利厚生費
  • 旅費交通費
  • 通信費

 

課税売上割合

課税売上割合の計算が正しく行われているかが調査されます。
課税売上割合が95%未満の場合は、課税売上割合の数値が変動すると納付する消費税の金額も変動します。

 

 

おわりに

消費税は税金のプロである税理士でも間違うことが多い税金です。消費税について迷ったり困ったことがあったら、ぜひ税理士に相談してみてくださいね。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

消費税の税務調査 簡易課税の場合

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として港区や渋谷区、新宿区など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援してきた経験から、株式会社などの法人の方、フリーランス・個人事業主などの個人の方の税金や節税について解説します。

 

今回は、消費税の計算を簡易課税で行っている場合の税務調査について説明したいと思います。

 

 

消費税の簡易課税とは

消費税の納税額の計算は、原則として原則課税という方式で行います。この原則課税は非常に手間がかかり事務的負担が大きくなってしまいます。そこで、そこまで規模が大きくない事業者(個人と法人)に対しては、事務的負担を減らしてもう少し簡単に消費税が計算できるように簡易課税という方式が用意されています。

 

消費税の簡易課税とは、
売上高(正確には基準期間の課税売上高)が5,000万円以下の事業者で、
税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を事前に提出している場合に認められる、
消費税の納税額の計算を簡便的に行うことができる制度をいいます。

 

簡易課税では、下記の計算式で消費税の納税額を計算します。

売上高(税抜き課税売上高) × 8% - 売上高(税抜き課税売上高) × みなし仕入率× 8%

みなし仕入率は業種によって定められています。

 

 

消費税の税務調査

消費税の税務調査は、簡易課税であっても原則課税であっても原則的には、法人税や所得税の税務調査と同時に行われます。しかし、消費税の還付申告を行った場合や、赤字であった場合などは、消費税だけが調査されることもあります。

消費税の税務調査では、特に簡易課税ではなく原則課税の場合は、必ずと言っていいほど誤りを指摘されてしまいます。消費税はキチンと計算するのがなかなか難しい税金であるといえます。

 

 

簡易課税の税務調査

消費税を簡易課税で計算している場合は、税務調査において次のようなポイントを中心に調べられます。

簡易課税の税務調査は、仕入れや経費についての消費税を調査しなくていいので、原則課税の税務調査に比べるとボリュームが少なくなります。

 

簡易課税の適用

そもそも簡易課税を適用できるのかどうかを調査されます。

  • 基準期間の課税売上高(ざっくり言うと、2年前の売上のうち消費税がかかる売上の税抜き売上)が5,000万円以下かどうか
  • 「消費税簡易課税制度選択届出書」を期限内に提出しているかどうか

 

課税売上高

課税売上高がもれなく集計されているかどうかが調査されます。
売上高だけでなく、受取賃料など営業外利益や特別利益に含まれるものについても課税取引に該当するものは課税売上高に含めなければなりません。
また、車や備品など資産を売った場合の収入も課税売上高になります。下取りがある場合は、その下取り価格が課税売上高になるので注意してください。

 

みなし仕入率

簡易課税で用いる「みなし仕入率」は、業種によってその割合が異なり、また複数の業種を営んでいる場合は特殊な計算が必要になります。そこで、正しい「みなし仕入率」を使っているかどうかを調査されます。

 

 

おわりに

消費税は税金のプロである税理士でも間違うことが多い税金です。消費税について迷ったり困ったことがあったら、ぜひ税理士に相談してみてくださいね。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

源泉所得税の税務調査-1 | 源泉所得税・源泉徴収

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として、港区や渋谷区、新宿区といった東京23区の起業家様、経営者様を支援してきた経験から、株式会社などの法人の方、フリーランス・個人事業主などの個人の方の税金や節税について解説します。

 

今回は、源泉徴収する源泉所得税税務調査ついて説明したいと思います。

 

 

源泉徴収制度

所得税では、個人の脱税を防ぐために給料や報酬を支払う会社や個人事業主に対して源泉徴収義務を課しています。

  • 会社や個人事業主が従業員やパート・アルバイトなどに給料を支払うときに、支払う給料から所得税を天引きして税務署に納めます。そして年末調整で従業員の所得税の再計算を行って天引きした所得税の精算をします。
  • 会社や個人事業主が個人に顧問料やデザイン料、原稿料などの報酬を支払うときに、支払う報酬から所得税を天引きして税務署に納めます。

 

 

 

源泉所得税の税務調査

源泉所得税の税務調査は、法人税や所得税、消費税の税務調査と同時に行われます。
(資本金が1億円以上で国税局の管轄になる会社の場合は、国税局ではなく所轄の税務署によって、源泉所得税が単独で調査されます。)

源泉所得税の税務調査では、次のようなところが調査されます。

 

 

毎月の源泉徴収についての税務調査

従業員やパート・アルバイトなど社内の人に給料を支払う時に、天引き(源泉徴収)する源泉所得税について、下記のポイントを中心にして、その金額が正しいかどうか調査されます。

  • 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出状況やその中身について
  • 源泉徴収する金額について、「給与所得の源泉徴収税額表」の「甲欄」「乙欄」「丙欄」を正しく適用しているか
  • 通勤手当が非課税限度額内かどうか。非課税限度額を超えている場合は、超えている分を源泉徴収の対象に含めているか

 

 

年1回の年末調整についての税務調査

年末調整について、下記のポイントを中心にして、正しく計算されているか調査されます。

  • 「源泉徴収簿」によって、源泉徴収が集計され年末調整が正確に計算されているかどうか
  • 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」の提出状況やその中身について
  • 保険料控除について、添付されている生命保険料や地震保険料、社会保険料の支払証明書と整合しているかどうか
  • 配偶者や扶養家族などの状況が配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除に整合しているかどうか

 

 

おわりに

源泉所得税の税務調査については次のページも参照ください。
源泉所得税の税務調査-2 | 源泉所得税・源泉徴収

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して間もない方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスにも強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの事業の持続的な発展のお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

ガソリンと軽油の価格の内訳 こんなに税金が含まれています

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が税金について解説します。

 

ガソリンスタンドでガソリン軽油を給油した時に支払う料金、その料金のなかに含まれている税金の金額を知ると、あまりの大きさにビックリするかもしれません。

今回は、そんな税金がたくさん含まれているガソリンと軽油の価格の内訳について説明します。

 

 

ガソリン価格の内訳

皆さんがガソリンを給油した時に支払う料金には、ガソリンの本体価格の他に、次のような税金が含まれています。

  • ガソリン税(本則税率)が、1リットルあたり28.7円
  • ガソリン税(暫定税率)が、1リットルあたり25.1円
  • 石油税が、1リットルあたり2.54円
  • 消費税が、(ガソリン本体価格+ガソリン税(本則税率)+ガソリン税(暫定税率)+石油税)×8%

 

図で表すとこのようになります。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成したガソリン価格の内訳

ガソリンが1リットルあたり150円の場合は、150円のうち半分近くの68円弱が税金になっているのです。

 

ガソリン税(本則税率)とガソリン税(暫定税率)、石油税にも消費税がかかっているため、二重課税になっていると言われています。なぜ二重課税になっているかというとガソリン税と石油税は石油元売会社が納める税金で、石油元売会社がガソリンスタンドにガソリンを卸すときに、ガソリン税分を上乗せして販売しているためです。

 

 

軽油価格の内訳

皆さんが軽油を給油した時に支払う料金には、軽油の本体価格の他に、次のような税金が含まれています。

  • 軽油引取税(本則税率)が、1リットルあたり15円
  • 軽油引取税(暫定税率)が、1リットルあたり17.1円
  • 石油税が、1リットルあたり2.54円
  • 消費税が、(軽油本体価格+石油税)×8%

 

図で表すとこのようになります。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した軽油価格の内訳

 

軽油が1リットルあたり130円の場合は、130円のうち3割程度の約42円が税金になっているのです。軽油とガソリンで本体価格が変わらなくても、軽油引取税の方がガソリン税に比べて安いため、最終的な料金も軽油の方が安くなっています。

 

石油税には消費税がかかっていますが、ガソリン税と異なり、軽油引取税(本則税率)と軽油引取税(暫定税率)には消費税はかかりません。軽油引取税はガソリンスタンドが納める税金ですが、納める軽油引取税は立替金として軽油価格に上乗せして(ガソリン税の場合は、上乗せではなくて、そもそもの価格に含めてあるイメージ)、お客さんに軽油を販売する際には、軽油引取税を別に徴収するためです。

 

 

灯油価格の内訳

皆さんが灯油を購入した時に支払う料金には、灯油の本体価格の他に、次のような税金が含まれています。

  • 石油税が、1リットルあたり2.54円
  • 消費税が、(灯油本体価格+石油税)×8%

 

図で表すとこのようになります。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した灯油価格の内訳

軽油が1リットルあたり95円の場合は、95円のうち1割程度の約10円が税金になっているのです。ガソリンや軽油に比べると税金はとても少ないですね。

 

 

おわりに

石油税は今後値上げされることが決まっており、さらに消費税率もアップされると、ガソリンや軽油の価格に占める税金の割合がさらに上昇してしまうことになります。

 

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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消費税の原則課税と簡易課税 節税になるのはどっち?

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として港区や渋谷区、新宿区など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援してきた経験から、株式会社などの法人の方、フリーランス・個人事業主などの個人の方の税金や節税について解説します。

今回は、原則課税簡易課税という2つの消費税の計算方法のうち、どちらが節税なるのかについて説明したいと思います。

 

 

消費税の計算方法

消費税を納める必要がある個人事業主や法人は、納めるべき消費税の金額を自分で計算して申告納付します。このときの消費税の計算方法としては原則課税と簡易課税の2つがあります。

 

原則課税とは

消費税の原則課税とは、下記の計算式で納める消費税を計算する方法をいいます。

売上にかかる消費税(受取った消費税) - 仕入れや経費にかかる消費税(支払った消費税)

仕入れや経費の支払いについて、その1件ごとに消費税がかかる取引なのかそうでないのかを判定しなければなりません。そのため非常に手間がかかる計算方法といえます。手間がかかるだけでなく判定そのものが難しいため、税務調査においても誤りの指摘がとても多くなっています。

 

 

簡易課税とは

消費税の簡易課税とは、下記の計算式で納める消費税を計算する方法をいいます。

売上にかかる消費税(受取った消費税) - 売上にかかる消費税(受取った消費税) × みなし仕入率

簡易課税は、(基準期間の)売上が5,000万円以下などの事業者にだけ認められる簡便的な計算方法です。
仕入れや経費の支払いについては、原則課税のようにその1件ごとに消費税がかかる取引なのかそうでないのかを判定する必要がないので、原則課税に比べて手間がかかりません。

 

 

原則課税と簡易課税ではどちらが簡単か

原則課税と簡易課税を比べると、簡易課税の方が圧倒的に簡単で手間もかかりません。
そのため、売上が5,000万円以下の事業者の多くは消費税の計算に簡易課税を採用しています。

 

 

原則課税と簡易課税ではどちらが節税になるか

原則課税と簡易課税を比べてどちらが節税になるかというと、簡易課税の方が節税になることが多いです。しかし、簡易課税で消費税の計算をした方が必ず節税になるわけではありません。

原則課税で消費税を計算した場合と、簡易課税で消費税を計算した場合で比較してみないと、どちらが節税になるか正確には分からないのです。

 

原則課税と簡易課税の比較を自分で行うのは難しいので税理士に相談するといいですよ。良い顧問税理士なら、こちらから相談しなくても税理士の方からより節税になる消費税の計算方法を提案してくれるはずです。

 

また、簡易課税の場合は消費税の還付を受けることができません。
普段は簡易課税の方が節税になる事業者であっても、大きな設備投資を行った場合には原則課税にして消費税の還付を受けた方が得になる場合があります。設備投資を行ってからでは遅いので、設備投資の予定がある場合は、必ず前もって顧問税理士に相談してください。

 

 

おわりに

消費税は税金のプロである税理士でも間違えてしまうことが多い難しい税金です。消費税について迷ったり困ったことがあったら、ぜひ税理士に相談してみてくださいね。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。