カテゴリー: 税務調査

税務調査-受取手形、支払手形、売掛金、買掛金、貸倒損失、在庫、棚卸資産

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

税務調査における個別の調査項目について具体的に説明します。
今回は、受取手形、支払手形、売掛金、買掛金、貸倒損失、在庫、棚卸資産の調査についてです。

 

受取手形、支払手形

取引内容の調査と受取先(振出人や裏書人)、支払先の確認をします。

ジャンプ手形や融通手形、預かり手形がある場合は、その内容について説明できるようにします。

 

売掛金、買掛金

取引内容の調査と得意先、仕入先との残高照合を行います。

請求の締日から期末までの売上・仕入は正しく記入されているかも確認します。値引、割引、割戻、返品、リベート、貸倒れなどの処理が妥当かもチェックされます。

また、長い期間動きがなく滞留しているものがないかも調べられるので、債権債務の年齢表などを作成しておくと説明がしやすいですね。

 

貸倒損失

必ず調査される項目であり、指摘事項となることも少なくありません。回収不能として貸倒れ処理する場合は税法の条件に合致しているか十分に検討します。

  1. 税法上の損金算入条件に合致しているか → 再建放棄通知書や債権者集会議事録といった証拠を用意します
  2. 回収不能性が立証できるか → 債権者に支払能力がないこと、行方不明になっていることなど、興信所の記録や得意先元帳などで証明します。
  3. 一定期間取引停止の立証はできるか → 取引停止後1年以上経っていることを証明するために、売掛金台帳や売掛金残高表、請求書の控えなどを用意します。

 

在庫、棚卸資産

  • 利益 = 売上 - 売上原価
  • 売上原価 = 期首在庫 + 仕入 - 期末在庫
  • 利益 = 売上 - 期首在庫 - 仕入 + 期末在庫

利益の計算は上記のように計算します。そのため期末の在庫が確定すると利益も確定します。期末在庫の確定は期末に実地棚卸だけを行って、帳簿棚卸を行っていない会社が多いです。在庫を調整すれば容易に利益を調整することが可能です。期末在庫が少なければ、利益も小さくなり税金が安くなるため、特に厳しく調査されます。

過去実績と比較して大きく増減している、売上や仕入外注費に対する在庫の比率が変動している場合は、その理由を説明できるように準備します。
在庫=数量×単価であるための、数量と単価の二つの面からも調査されます。

数量

  1. 実地棚卸は実際に行われたか → その時の棚卸票、棚卸集計表などの原始記録はあるかなどが調べられます。清書した集計表だけでなく、実際に使用した棚卸票や照合記録を整理して保管しておきます。
  2. 外注先にある預け品等の社外にある在庫、得意先への委託販売品や貸出品なとの計上漏れはないか → 期末に残高確認書や残高証明書などを取り寄せます。
  3. 期末直前の仕入、期末直前の返品、翌期初めの出荷に対応する在庫が計上されているか。
  4. 材料の消費を水増しして、原価が過大に計上されていないか。
  5. 材料、仕掛品、完成品の一部を除外して、在庫を減らしていないか。
  6. 材料、完成品だけでなく仕掛品の棚卸も行っているか → 外注先などの社外になる仕掛品は、計上漏れがあっても分かりにくく、利益操作に利用されやすいため、調査官もきっちり調べます。翌期の製品の完成や売上から簡単に仕掛品の除外が発見されます。原価基準や生産予定表を整備して、計上根拠を明確にする必要があります。

単価

  1. 評価方法は税務署に届出た方法によっているか
  2. 在庫に加えるべき仕入諸掛りが除外されていないか
  3. 仕掛品の評価の基準はどうなっているか、その基準は合理的か → 原価計算の方法は、原価管理の面からあらかじめ整備しておくことが望ましいです。原価計算の方法が定まっていると調査官への説明も容易になり信用も上がります。
  4. 在庫の評価減を計上した場合、その根拠は何か → 調査官は評価減について厳しく調べます。評価減を行う場合は、商品の過去の動き、売価、調査時期までの動き、処分価額などの数値的根拠をもとに十分に検討してから行いましょう。そして税務調査の際は、その資料をもとに説明することになります。

 

税務調査の関連ページ

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おわりに

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

税務調査-概況、現金、預金の調査

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

税務調査における個別の調査項目について具体的に説明します。

今回は、概況、現金及び預金の調査についてです。

 

概況

税務調査における概況の調査とは、税務署に提出した事業概況説明書の中身が調査項目となります。

  1. 販売、仕入、外注費の月次推移の異常、前期からの変動
  2. 利益率の変動
  3. 役員や従業員数の変化

基本は過年度との比較です。大きな変化がある場合は、その理由を調査するので、資料に基づき具体的な数値を示して説明できるように準備します。

 

現金

税務調査において、現金は真っ先に調査される項目です。現金残高と現金出納帳が合っているかチェックされます。合っていないと、普段の管理状態に問題がある、売上を抜いているのでは、私用の経費を会社経費にしているのではと疑われてしまいます。

また現金出納帳が赤字になっていたり、多額の残高が長期間残っていないか、どんぶり勘定になっていないかなどがチェックされます。

現金の管理がしっかりしていないと、他の帳簿もしっかりしていないと思われて、より念入りに調査されることになってしまいます。調査日現在まで現金出納帳はしっかり記入しておく必要があります。

社長個人の現金などが金庫に保管されていないようにします。社長と会社の財布は分けます。

領収証発行日と支出日は一致しているか確認します。領収証は、現金預金払いのほか手形払いなどでも受取る証拠書類です。領収証の内容が不明確なものはないか、住所の書かれていない、市販の領収書用紙で社名も手書き、宛名が上様になっている、などの領収書は調査官も厳しくチェックします。領収書のない支出についても理由を問われます。

 

預金

預金も重要な税務調査項目です。帳簿や預金通帳から入出金の内容を調査するだけでなく、反面調査として銀行に出向いて調査をすることもあります。

預金通帳、残高証明書、帳簿残高が合っているかを確認したり、多額の入出金や取引銀行の変更などは説明を求められます。毎月末に帳簿と通帳残高の一致をチェックするのはもちろん、期末には銀行から残高証明書を取り寄せて期末残高を確定させます。利息の記入モレはよくあるので気をつけます。

未取付小切手や未渡し小切手がないか整理して、小切手帳のミミも保管します。個人名義の通帳や印鑑を一緒に保管しないように気をつけます。

はっきり言って税務署の調査能力はスゴいです。国内金融機関はもとより海外口座、海外金融機関をつかった利益隠しなどの不正についてもしっかりと目を光らせています。

 

 

税務調査の関連ページ

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おわりに

すべての取引はcash(現金預金)に帰結します。不正が行われると、現金預金残高のつじつまを合わせるために更なる不正が行われます。普段から現金預金の管理をしっかり行ってください。

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税務調査-税務署はこんな納税者が好き

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

税務調査において、税務署はどんな納税者(および税理士)が好きなのでしょうか?
逆に、どんな納税者(および税理士)が嫌いなのでしょうか?

 

税務署が好きな納税者と税理士は「聞き分けのいい都合の良い人」

  • 税務調査の結果について、文句を言わず調査官の言う通りの修正申告書を提出してくれる。
  • 判断の分かれるグレーな部分についての指摘であっても、税務署側の主張に沿った課税で納得してくれる。
  • 重加算税を賦課するために必要な要件に少々の事実相違があったとしても異議を唱えず了承してくれる。

調査官の苦しい立場に理解があって協力を惜しまない、本来の納税者の不服申し立ての権利を放棄して、少々不満でも修正申告書を提出してくれる、ノルマ達成に協力してくれる、要は税務署にとって聞き分けのいい都合の良い、言いなりになってくれる納税者と税理士を税務署は好みます。

 

税務署が苦手な納税者と税理士は「賢く細かく厳しい人」

税務署が苦手とするのは、税務署側が提示した指摘事項について、法的な問題点が無いかどうかの検討を詳細に行って、納得できないものは修正申告書の提出を行わず、場合によっては更正決定処分を待って不服申し立てで争うといった、厳しく細かい納税者と税理士は苦手です。

納税者が自主的な修正申告に応じない場合は、税務署の更生決定処分によって追加の税金を払うことになります。この更生というのは税務署内での面倒な手続きを経なければなりません。

本来はこれが納税者と税理士としてはあるべき姿なのですが、税務署にとってはこの様な対応をされたら手間がかかりノルマの消化に支障をきたすので、このような納税者と税理士はできれば避けたいと考えます。

 

 

税務署は敵対する納税者には容赦しません

調査に協力・非協力といったレベルではなく、調査にも応じなければ修正申告書の提出も行わないといった強硬派の納税者や税理士もいます。

税務署はこの様な納税者に対しては、専門の担当者が気合を入れて調査に行き容赦しません。その結果、強硬な課税をするのでかなり膨大な税負担を求められる可能性があります。

 

 

税務調査の関連ページ

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おわりに

皆さんは税務署にとってどういう納税者ですか?

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

税務調査-心構え

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

税務調査が入ったら、どのように対応したらいいのでしょうか。特に初めての税務調査では、右往左往してしまうことでしょう。そこで今回は、税務調査における心構えや対応方法についてご説明したいと思います。

 

税務調査は怖くない

脱税など税金を不当に減少させていなければ、税務調査は怖くありません。普段から税理士にしっかりと経理を見てもらって、きちんと申告して納税をしていれば、大丈夫です。無料で会社の税金についての処理や管理体制をチェックしてもらって、アドバイスまでもらえると考えることもできます。また、時には従業員の横領が見つかることもあります。経理処理のうっかりミスによる追加の税金はそんなに多額になることはありません。不正や脱税などやましいことをしていないのであれば胸をはって調査を受けましょう。

そもそも、脱税ほど割の合わないことはありません。税務署の調査官は優秀です。脱税は見つかります。見つかってしまったら、脱税で得ていたキャッシュインがなくなるのはもちろん、それを大きく超えたキャッシュアウトは避けられません。普段から適正な会計処理、税務申告を心がけます。

 

税務調査を受ける際のスタンス

税務調査を受ける際のスタンスは、強気に出て対決姿勢を見せたり、その逆に弱腰になって避けるのではなく、あくまで平常心を保ち正面から正攻法で受け答えすることが大切です。調査を早く終わらせてもらうためには、調査官が必要とする資料の提出や、質問には積極的に協力していく姿勢が重要です。
調査官からの質問にはシンプルはっきり明確に答えます。余計な尾ひれ、ムダ話や関係ない話題など、質問に関係ことを話してしまうことで、新たな問題を起すことがないようにすることが大切です。

質問に対して即答することは調査官の信用につながりますが、必ず即答しなければいけない訳ではありません。あいまいな受け答えではかえって信用を落としてしまいます。自信を持って即答できない場合は「よく調べてからご返答します」と、いったんは保留して、ちゃんと調べてから答えることです。調査官が関心を持った事項というのは、大きな問題に発展する場合も少なくありません。税理士にも相談して、しっかりと対策を練ります。

 

コーヒー通達

調査官への飲食などの接待については、「コーヒー通達」といわれる通達があります。一般的に考えてコーヒーくらいはお出ししても良いです。コーヒーやお茶などを超えたものは控えて、基本的には出来る限りの儀礼的な態度で対応するようにします。丁寧に対応することはもちろん大切ですが、度を超えた対応は、調査官が不信感抱くことになります。

 

指摘事項は改善する

調査で指摘された事項は、忘れずに改善します。次の調査で改善されているかどうかを必ず調べられます。改善されていない場合は、意図的に改善していないと思われて調査官の心証がかなり悪くなってしまいます。

 

納税者と税務署は利益相反の関係

税務調査への対応として、特殊なテクニックや手段があるわけではありません。普段からの正しい会計処理、資料の整理整頓が基本となります。 しかし調査というものは、税金を取りたい税務署と税金を払いたくない納税者といった利益相反の関係にあるため、主張の差異は避けられません。この差異を出来るだけ小さくして、速やかに調査を終えてもらうことを目指します。

 

調査官の判断基準

調査官の判断は、税法や通達、税務署の立場に基づいて行われます。対して税務調査を受ける側の会社の方は税務的な解釈よりも会社の都合や常識を優先しがちです。在庫評価損の計上、債権の貸倒損失、会社と役員の取引など、会社側の基準に比べて税務署は厳しく定義しているので衝突してしまいます。意見の対立から感情的な対立に発展することは避けるべきです。こちらの正当な主張は説明する必要はありますが、全てにおいて突っぱねるのではなく、税務署の立場も考えることです。良い機会として教えを受けるという態度を持つことです。そうして、少しでも会社が有利となる妥協点を目指します。

 

証拠が重要

税務調査では証拠が重要です。どんなに口で説明して、帳簿に書かれていても、証拠がなければ調査官は納得しません。証拠となる契約書、見積書、注文書、納品書、請求書、領収書などは普段から整理整頓して管理する必要があります。

 

 

税務調査の関連ページ

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おわりに

以上、税務調査における心構えについて簡単に説明させて頂きました。繰り返しになりますが、脱税ほど割に合わないものはありません。日頃から適正な会計処理、書類の整理整頓を行って、税務調査がいつ入っても構わないという体制を整えておくことが理想ですね。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

税務調査-延滞税と加算税

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、税務調査の結果、指摘事項があった場合におけるペナルティについてご説明します。

期限内に申告書を提出しなかった場合や修正申告書の提出、更正があった場合は、ペナルティとして延滞税、加算税といった追加の税金を納付しなければなりません。これらは罰則的な意味合いを持つので損金にできません。

 

延滞税、加算税の種類

延滞税や加算税には、いくつかの種類がございますので下の表をご参照下さい。

種類 内容 税額
延滞税 期限内に税金を納付しなかった場合 追加で納付した税金の年14.6%で日割計算します
なお、2ヶ月以内の分は年7.3%と前年の11月30日の日本銀行が定める基準割引率+4%」のいずれか低い割合になります
過少申告加算税 少なく税金を申告してしまった場合で、自主的に修正申告書を提出した場合。税務調査を予想して提出したものはダメです。 ゼロです。過少申告加算税は課されません
少なく税金を申告してしまった場合で、税務調査の結果、修正申告書の提出や更生があった場合 追加で納付した税金の10%
追加で納付した税金のうち、「期限内に申告した税金」または「50万円」のどちらか多い金額を超える部分は15%)
無申告加算税 納付すべき税額があって、期限内に申告書を提出しなかったが、申告期限を過ぎた後に自主的に申告書を提出した場合。税務調査を予想して提出したものはダメです。 税金の総額の5%
申告書の提出が申告期限から2週間以内であればゼロ
申告書を提出していない場合で、税務調査の結果、申告期限を過ぎて申告書を提出した場合や更生、決定があった場合 税金の総額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%
不納付加算税 源泉徴収等による税金が法期限内に完納されない場合,源泉徴収義務者に対し課される 税金の総額の10%
税務調査が予想される前に納付すれば5%
重加算税 少なく税金を申告した場合で、隠したり偽装をしていた場合
過少申告加算税の悪質バージョン
追加で納付した税金の35%
申告書を提出していない場合で、隠したり偽装をしていた場合
無申告加算税の悪質バージョン
税金の総額の40%
源泉徴収等による税金が法期限内に完納されない場合で、隠したり偽装をしていた場合
不納付加算税の悪質バージョン
税金の総額の35%

このように、延滞税と加算税は、本来納めるべき税金の額がもとになって計算されるため、税額が少なければペナルティと言ってもビックリするほど高額になることはありません。その逆に納めるべき税金が多ければ、その分ペナルティたる延滞税と加算税も高額になってしまいます。

 

 

税務調査の関連ページ

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おわりに

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