財産及び債務の明細書の書き方・記載例 | 財産及び債務の明細書-3

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が税金や節税、確定申告などについて解説します。

 

平成27年度の税制改正において、所得税や相続税の申告の適正性を確保する観点から、「財産及び債務の明細書」を見直し、一定の基準を満たす方に対して、その方が保有する財産と債務についての調書の提出を求める「財産債務調書」の提出制度が創設されました。

平成26年分までは「財産及び債務の明細書」でしたが、
平成27年分からは「財産債務調書」になります。
財産債務調書についてはこちら
財産債務調書とは | 財産債務調書-1

 

下記内容は平成26年分までにかかる「財産及び債務の明細書」についての記載になりますのでご注意ください。

 

今回は、平成26年分の所得が2,000万円を超える方が平成26年分の確定申告に合わせて提出しなければならない「財産及び債務の明細書」の具体的な書き方・記載例について説明します。

「財産及び債務の明細書」の概要については下記ページを参照ください。
財産及び債務の明細書の概要 | 財産及び債務の明細書-1

どんな財産や債務を「財産及び債務の明細書」に記載しなければならないのかについては下記ページを参照ください。
財産及び債務の明細書に記載する財産と債務の種類 | 財産及び債務の明細書-2

「財産及び債務の明細書」を提出しないとどうなるかについては下記ページを参照ください。
財産及び債務の明細書を提出しない場合の罰則 | 財産及び債務の明細書-4

 

 

財産及び債務の明細書の書き方・記載例

「財産及び債務の明細書」の具体的な書き方・記載例は下記のようになります。

https://www.integrity.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/2ec7b12d108a2fe4007bdd0941e6ef9b.pdf

 

 

財産は、財産の種類・細目ごとに記載して、同一の種類で複数の細目がある場合は小計も記載します。そして財産の合計金額を「計(A)」に記載します。
債務も、債務の種類・細目ごとに記載して、同一の種類で複数の細目がある場合は小計も記載します。そして債務の合計金額を「計(B)」に記載します。

「差引計(A) – (B)」に上記の「計(A)」から「計(B)」を差し引いた金額を記載します。

 

備考欄には、税務署に説明しておきたい事項などを記載しますが基本的に空欄で構いません。

税務署に「財産及び債務の明細書」を提出するときは、控えをとっておいてください。

前年も「財産及び債務の明細書」を提出した方について、前年の「財産及び債務の明細書」に記載した財産や債務のうち、本年も異動がない財産や債務については、前年の「財産及び債務の明細書」に記載した金額をそのまま書いて下さい。

 

 

土地

「財産又は債務の種類」の欄には、土地を「宅地」「田畑地」「林地」「その他」に区分して記載します。

「財産又は債務の細目」の欄には、上記のように区分した土地について、さらに「自家用」と「貸地」に区分して記載します。そしてそれぞれの土地について、所在地、筆数、面積を記載します。

「財産の価額又は債務の金額」の欄には、それぞれの土地について、その年の12月31日現在の見積価額を記載します。見積価額が分からない土地については次の金額を記載しても構いません。

  1. 最近有償で取得した土地については、その購入したときの取得価額
  2. 1以外の土地については、その年分の固定資産税の課税標準額

 

 

建物

「財産又は債務の種類」の欄には、建物を「住宅」「店舗」「工場」「その他」に区分して記載します。

「財産又は債務の細目」の欄には、上記のように区分した建物について、さらに「自家用」と「貸家」に区分して記載します。そしてそれぞれの建物について、所在地、戸数、床面積を記載します。

「財産の価額又は債務の金額」の欄には、それぞれの建物について、その年の12月31日現在の見積価額を記載します。見積価額が分からない建物については次の金額を記載しても構いません。

  1. 最近有償で取得した建物については、その購入したときの取得価額
  2. 1以外の建物については、その年分の固定資産税の課税標準額

 

 

現金

現金については、
「財産又は債務の種類」の欄に「現金」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は空欄、
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の現金残高を記載します。

 

 

預貯金

預貯金については、
「財産又は債務の種類」の欄に「預貯金」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は空欄、
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の預貯金残高を記載します。

口座ごと細かく記載する必要はありませんので、預貯金の合計金額を記載してください。

 

 

有価証券

「財産又は債務の種類」の欄には、有価証券を次のように区分して記載します。

  • 株式(投資口、私募公社債等運用投資信託の受益権、社債的受益権を含む)
  • 投資信託
  • 公社債
  • 貸付信託
  • 特定受益証券発行信託

「財産又は債務の細目」の欄には、上記のように区分した有価証券ごとに、その株数や口数を記載します。

「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の価額を記載します。
市場価格がない場合は、取得価額(購入した時の金額)を記載してください。

なお、銘柄別に細かく記載する必要はありません。

 

 

貸付金

貸付金については、
「財産又は債務の種類」の欄に「貸付金」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は空欄、
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の貸付金の合計残高を記載します。

貸付先別に細かく記載する必要はありません。

 

 

未収入金

未収入金については、
「財産又は債務の種類」の欄に「未収入金」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は空欄、
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の未収入金の合計残高を記載します。

未収入金がある相手先別に細かく記載する必要はありません。

 

 

受取手形

受取手形については、
「財産又は債務の種類」の欄に「受取手形」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は空欄、
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の受取手形の合計残高を記載します。

受取手形の相手先別に細かく記載する必要はありません。

 

 

書画骨とう

書画骨とうについては、1点が10万円以上のものを記載します。

「財産又は債務の種類」の欄に「書画骨とう」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は、1点が10万円以上の書画骨とうの数
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の書画こっとうの見積価格の合計残高を記載します。最近有償で取得したものについては、取得価額(購入金額)を記載しても構いません。

書画骨とうを1点1点細かく記載する必要はありません。

 

 

美術工芸品

美術工芸品については、1点が10万円以上のものを記載します。

「財産又は債務の種類」の欄に「美術工芸品」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は、1点が10万円以上の美術工芸品の数
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の美術工芸品の見積価格の合計残高を記載します。最近有償で取得したものについては、取得価額(購入金額)を記載しても構いません。

美術工芸品を1点1点細かく記載する必要はありません。

 

 

貴金属類

貴金属類については、1点が10万円以上のものを記載します。

「財産又は債務の種類」の欄に「貴金属類」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は、1点が10万円以上の貴金属類の数
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の貴金属類の見積価格の合計残高を記載します。最近有償で取得したものについては、取得価額(購入金額)を記載しても構いません。

貴金属類を1点1点細かく記載する必要はありません。

 

 

家庭用動産

家庭用動産とは、書画骨とう・美術工芸品・貴金属類以外の、自動車や家具などの動産をいいます。
家庭用動産については、1個又は1組の価額が10万円以上のものを記載します。

「財産又は債務の種類」の欄に「家庭用動産」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は空欄
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の家庭用動産の見積価格の合計残高を記載します。最近有償で取得したものについては、取得価額(購入金額)を記載しても構いません。

家庭用動産を1点1点細かく記載する必要はありません。

 

 

その他の財産

その他の財産については、1件10万円以上のものを記載します。

「財産又は債務の種類」の欄には、「その他の財産」と記載します。
「財産又は債務の細目」の欄には、例えば「ゴルフ会員権」「出資金」「賃借権」など、その他の財産を種類別に記載します
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の見積価格を記載します。最近有償で取得したものについては、取得価額(購入金額)を記載しても構いません。

 

 

債務

債務については、

「財産又は債務の種類」の欄には、「借入金」「支払手形」「未払金」「未払税金」「その他の債務」に区分して記載します。

「財産又は債務の細目」の欄は、基本的に空欄で構いません。

「財産の価額又は債務の金額」の欄には、それぞれの債務について、その年の12月31日現在の債務残高を記載します。

 

 

国外にある財産と債務

国外にある財産と債務についても、国内にある財産・債務と同様に「財産及び債務の明細書」に記載します。

 

しかし、所得税の確定申告書に合わせて「国外財産調書」を提出する方については、「国外財産調書」に記載した国外財産については「財産及び債務の明細書」には記載しません。「財産及び債務の明細書」の一番下の備考欄に「国外財産については、国外財産調書に記載のとおり」と記載してください。

なお、「国外財産調書」には国外債務を記載しないので、「国外財産調書」を提出する方であっても、国外債務がある場合は「財産及び債務の明細書」に国外債務の記載をします。

「国外財産調書」については下記ページを参照ください。
5,000万円超の海外資産がある人は申告が必要 | 国外財産調書制度-1

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。