貸倒損失で節税(法人)

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

事業を続けていくと、得意先の倒産などによって、売掛金が回収できなくなったりするという事態がどうしても発生してしまいます。相手が音信不通になってしまい、貸付金が回収できなくなるという事も起こるかもしれません。

今回は、そんな不測の事態によって被ってしまった被害を、貸倒損失による節税で、和らげる方法について解説したいと思います。

 

貸倒損失とは

貸倒損失とは、売掛金や貸付金など会社がもっている債権が回収できなくなったときに、損失として経理処理することをいいます。

法人税や住民税、事業税などを合わせた法定実効税率が36%のなかで、取引先が倒産してしまって100万円の売掛金が全てパーになってしまったとします。売掛金100万円は回収できなくなってしまったので、貸倒損失を100万円計上することになります。そうすると会社の損金が100万円増えるので、その分所得が100万円減ります。所得が100万円減ると税金が36万円減ります。この節税効果によって100万円のうち36万円を回収したのと同じ効果が生まれるのです。このように貸倒損失による節税によって、回収不能額の一部を取り返すことができるのです。

 

貸倒損失は簡単に計上できません

貸倒損失は簡単に計上することができません。簡単に計上できるのであれば、例えば取引先と口裏を合わせて貸倒したように見せかけて容易に脱税することだってできてしまいます。このため貸倒損失を計上するためには、下記のように細かく要件が定められています。

 

金銭債権の法的な貸倒れ

下記のような事実に基づいて切り捨てられた債権の金額は金銭債権の法的な貸倒れ、その事実が発生した事業年度に貸倒損失として損金にすることができます。その事実が発生した年以外では損金にできないことに注意してください。

  • 会社更生法や民事再生法など法律の規定によって債権が切り捨てられた場合は法的な貸倒れとして、その切り捨てられた金額を貸倒損失にすることができます。
  • 上記のような法律の規定による手続ではなく、債権者集会の協議決定、行政や金融機関などのあっせんによる協議などによって、合理的な基準によって債権が切り捨てられた場合は、その切り捨てられた金額を貸倒損失にすることができます。
  • 債務者の債務超過の状態が続いていて、債権を回収できる見込がない場合に、その債務者に対して、内容証明による債権放棄など書面によって債務免除の額を明らかにした場合は、その債務免除した額を貸倒損失にすることができます。

 

金銭債権の実質的な貸倒れ

債務者の資産状況や支払能力などからその債権の全額が回収できないことが明らかになった場合は金銭債権の実質的な貸倒れとして、その明らかになった事業年度に貸倒損失として損金にすることができます。その明らかになった年以外では損金にできないことに注意してください。

担保があるときは、その担保を処分した後でなければ貸倒損失として損金にすることはできません。

保証債務については、現実に保証債務を履行した後でなければ貸倒損失の対象にすることはできません。

 

売掛債権の形式的な貸倒れ

下記のような事実が発生した場合には、その債務者に対する売掛債権について、その売掛債権の額から備忘価額として1円をマイナスした残りの額を貸倒損失として損金にすることができます。

  • 継続的な取引を行っていた取引先の資産状況や支払能力などが悪化したことから、その取引先との取引を停止した場合において、その取引の停止または最後の弁済のうち遅い方から1年以上経過したとき。その売掛債権について担保がある場合は除きます。
  • 同一の地域の債務者に対する売掛債権を合計した額が取立費用(交通費や人件費など)より少ない場合で、電話や書面などで支払の督促をしても弁済してくれないとき

形式的な貸倒れの対象になる債権は、金銭債権ではなく売掛債権になっていることに注意してください。売掛債権とは取引先と通常の販売取引や営業活動により生じた売掛金や受取手形のことを指し、貸付金などは含まれません。

 

貸倒損失と税務調査

貸倒損失は税務調査において、必ず調べられる項目です。適用の誤りが多く税金を追加で取りやすい、ときには脱税にも使われる項目であるからです。貸倒損失を計上する際は、貸倒損失にして問題ないのか税理士に確認するとともに、根拠資料をしっかりと残しておく必要があります。

 

おわりに

貸倒損失による節税を使う機会に遭遇しないのが一番良いですよね。そのためには日頃から取引先の与信管理をしっかりと行うことが大切です。与信管理の方法などについても税理士に相談するといいですよ。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。