海外転勤した場合の源泉徴収と年末調整

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区や渋谷、新宿など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が会計や税金、節税について解説します。

今回は、海外転勤した場合の源泉徴収と年末調整について説明したいと思います。

 

 

海外転勤で非居住者になる場合

役員や従業員が、海外の支店などに1年以上の予定で転勤した場合には一般的には所得税法でいう非居住者になり、1年未満の予定で転勤した場合には居住者になります。

 

 

海外出国前

扶養控除等(異動)申告書を提出した居住者で、その年の年末調整の対象となるその年中に支払うべきことが確定した給与等の支給額が2,000万円以下である者が、1年以上の予定で海外に転勤することになった場合には、給与等の支払を行う者は、その居住者が海外に出国する日までに、年末調整をしなければなりません。

 

年末調整の対象となる給与等は、出国する日までに支払の確定した給与等になります。

社会保険料や生命保険料などの控除は、出国する日(居住者であった期間)までに支払われたものに限られますのでご注意下さい。

扶養控除や配偶者(特別)控除(年末調整に際して「配偶者控除等申告書」の提出が必要になります。)などは、出国の時に控除の対象となる者に係る所得控除額を控除できます。控除対象となるかどうかは次により判定します。

  • 生計を一にしていたかどうか及び親族関係にあったかどうかは、出国の時の現況で判定
  • 合計所得金額は、出国の時の現況により見積もったその年の1月1日から12月31日までの合計所得金額で判定

 

 

海外出国後

1年以上の予定の海外転勤によって非居住者になった役員や従業員に給与を支払う場合、役員と従業員で取り扱いが異なってきます。

 

役員の場合、海外勤務に対する報酬であっても、内国法人の役員として受ける報酬は、国内源泉所得に該当するため、20.42%の税率で源泉徴収が必要となります。
ただし、その役員が、支店長など使用人としての立場で常時海外において勤務している場合は、源泉徴収は必要ありません。

 

1年以上の予定の海外転勤によって非居住者になった従業員の海外における勤務に対する給与は、国内源泉所得に該当しないため源泉徴収は必要ありません。
しかし、海外で勤務している従業員や、支店長など使用人として常時海外で勤務している役員に対して国内において賞与、ボーナスなどが支払われ、その計算期間内に日本で勤務した期間が含まれている場合は、日本での勤務期間に対応する金額に対して20.42%の税率で源泉徴収が必要になります。

 

なお、給与等の計算期間の中途において居住者から非居住者となった場合、給与等の計算期間が1ヶ月以下であれば、給与等の計算期間のうちに日本での勤務期間が含まれていても源泉徴収をしなくてもよいことになっています(給与等の全額が日本での勤務に対応する場合には、20.42%の税率で源泉徴収が必要です。)。

 

ただし、役員の給与等に対する課税の取扱いについては、いくつかの国と租税条約を結んでいますので、これらの租税条約の内容を確認することが必要になります。

 

 

おわりに

港区や渋谷、新宿など東京23区で、会社を退職して起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。会計や節税だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなたの事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。