先物取引とは | デリバティブの基礎-2

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区・渋谷区・新宿区など東京都23区のベンチャー企業やスタートアップ起業を支援する公認会計士・税理士が、金融・ファイナンスについて解説します。

今回は、デリバティブの基礎として、デリバティブの代表的な取引のひとつである先物取引について説明したいと思います。

 

 

デリバティブとは

デリバティブとは、株式や債券、金利、為替、コモディティ(穀物や金属、非鉄金属といった商品)などから”派生”した取引のことで、日本語では金融派生商品ともいわれます。デリバティブを一言で言うと、将来に行う取引を現時点で予約する取引です。

デリバティブの概要については下記ページを参照ください。
デリバティブとは | デリバティブの基礎-1

このデリバティブの代表的な取引として、今回ご説明する先物取引があります。

 

 

先物取引とは

先物取引とは、
将来の定められた日に
定められた商品について
定められた数量を
定められた価格で
売買することを現時点で約束する取引をいいます。

現時点において、将来売買する際の価格や数量などを約束だけして、将来の期日になった時点で、その時の価格がいくらになっていようと、はじめに約束した価格で売買を行うことになります。

 

 

先物取引の例

定義だけではわかりづらいので先物取引の例を紹介します。

 

車が趣味の甲さんは毎月たくさんのガソリン代を払っています。
今のガソリン価格は1リットルあたり150円だけど、ガソリン価格は最近値上がり傾向だし将来もっと値上がりするのだろうなあと頭を悩ませています。

甲さんの友達で同じく車が趣味の乙さんも、ガソリンの価格変動は悩みの種になっています。ガソリン価格は最近まで値上がりが続いていたけど、そろそろ値下がりする時期だろうと感じています。

 

甲さんは、ガソリン価格は将来値上がりすると考えています。
乙さんは、ガソリン価格は将来値下がりすると考えています。
そんな甲さんと乙さんで、次のように将来のガソリンの売買を現時点で約束することにしました。

 

「半年後、乙さんから甲さんにガソリン100リットルを1リットルあたり150円で売る。」

 

ガソリン価格が上がった場合

半年後のガソリン価格は上がって1リットルあたり200円になりました。

  • 甲さんは、1リットルあたり200円のガソリンを150円で100リットル購入することができました。(200円-150円)×100リットル=5,000円、5,000円の儲けになります。
  • 乙さんは、1リットルあたり200円のガソリンを100リットル仕入れて1リットルあたり150円で売らなければなりません。(150円-200円)×100リットル=▲5,000円、5,000円の損失になります。

 

ガソリン価格が下がった場合

半年後のガソリン価格は下がって1リットルあたり100円になりました。

  • 甲さんは、1リットルあたり100円のガソリンを150円で100リットル購入しなければなりません。(100円-150円)×100リットル=▲5,000円、5,000円の損失になります。
  • 乙さんは、1リットルあたり100円のガソリンを100リットル仕入れて1リットルあたり150円で売ることができました。(150円-100円)×100リットル=5,000円、5,000円の儲けになります。

 

将来のガソリン価格がどうなるかなんて誰にも分かりません。損をするかもしれないのにこんな将来の約束をしても意味が無いと思われる方もいると思います。

しかし、将来のガソリン価格を今の時点で固定できることに大きな意味があります。甲さんも乙さんも、半年後のガソリン価格は1リットルあたり150円ということで、前もって色々と準備ができます。このように先物取引には価格が上がるか下がるか分からないという不確実な状態を回避することができるのです。

 

 

先物取引のメリットはリスクヘッジ

上記の例のとおり先物取引には、将来行う売買の価格を現時点で決めることができるので、価価格が変動するリスクを事前に回避することができるというメリットがあります。

先物取引で価格変動のリスクを回避する方法には、買いヘッジと売りヘッジがあります。

 

買いヘッジ

将来価格が上がると予想しているものについて、値上がりする前の価格で将来買うという約束を現時点ですることを買いヘッジといいます。買いヘッジによって将来値上がりすることによる損失を防ぐことができます。

 

売りヘッジ

将来価格が下がると予想しているものについて、値下がりする前の価格で将来売るという約束を現時点ですることを売りヘッジといいます。売りヘッジによって将来値下がりすることによる損失を防ぐことができます。

 

 

先物取引の特徴

一般的にモノの売買をするときには、売買する時にモノとお金を交換して決済しますね。

一方、先物取引は、将来の約束した日に、あらかじめ決めた価格でモノの売買をすることを、現時点で約束する取引です。
そして、一般的なモノの売買のように商品の受け渡しは必ずしも行われるわけではありません。転売や買い戻しなど、約束の日において売買の差額だけを精算することができるという特徴があります。
上記の例では実際にガソリンというモノとお金を交換していますが、儲けと損失にあたる売買差額だけをお金でやりとりすることもできるのです。

 

 

おわりに

先物取引と聞くと、株式投資などと比べて何となくギャンブルっぽく思われるかもしれません。実際、先物業者の指図のままに取引を行い先物相場でスッカラカンになってしまったという話は昔からキリがありません。たしかに先物取引には投資ではなく投機という側面もあるかもしれません。しかし、他のデリバティブ取引と同様に使い方を間違えなければ、将来の価格変動を回避するリスクヘッジにも用いることができる利点もあるのです。

 

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。