カテゴリー: 消費税

株式会社など新しく法人を設立したときの消費税

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

起業して法人を立ち上げたり、フリーランス・個人事業主から法人成りした場合は、法人税、法人住民税、法人事業税の納付に合わせて消費税も納める必要がありあす。

今回は、そんな株式会社など新しく法人を設立したときの消費税について説明したいと思います。

 

法人設立して1期目の消費税

資本金が1,000万円未満の法人

資本金が1,000万円未満の株式会社などの法人を設立した場合は、1期目(設立日から決算日まで)は原則として消費税を納める必要はありません。基準期間の課税売上高がないので消費税の納税義務が免除されます。基準期間や課税売上高については「売上1,000万円-消費税の納税義務が免除」を参照ください。

資本金が1,000万円以上の法人

資本金が1,000万円以上の株式会社などの法人を設立した場合は、売上高の金額に関係なく1期目から消費税を納める必要があります。

 

2期目の消費税

資本金が1,000万円未満の法人

資本金が1,000万円未満の株式会社などの法人を設立した場合は、1期目(設立日から決算日まで)に引き続き2期目(設立した期の翌期の初日から決算日まで)も原則として消費税を納める必要はありません。基準期間の課税売上高がないので消費税の納税義務が免除されます。

しかし、特定期間(1期目の初日、つまり設立日から6ヶ月間)の課税売上高が1,000万円を超える場合は、消費税を納める必要があります。

資本金が1,000万円以上の法人

資本金が1,000万円以上の株式会社などの法人を設立した場合は、売上高の金額に関係なく1期目に引き続き2期目も消費税を納める必要があります。

 

3期目の消費税

法人を設立して3期目については、3期目の基準期間にあたる、前々期の設立1期目(設立日から決算日まで)の課税売上高の大きさを1年分に換算した金額で判定することになります。

設立1期目の課税売上高を1年分に換算した金額が1,000万円以下ならば、3期目は消費税の免税事業者となり、消費税の納税義務は免除されるので、消費税を納める必要はありません。

設立1期目の課税売上高を1年分に換算した金額が1,000万円を超えるならば、3期目は消費税の課税事業者となり、消費税を納める必要があります。

例えば、8月6日に株式会社を設立して決算日が3月31日の場合、設立1期目(8月6日から3月31日まで)の課税売上高が800万円だったとします。1期目の課税売上高800万円を、1期目の月数8ヶ月(8月から3月、月数で考えるので日割りはしません)で割って12ヶ月を乗じると、1,200万円になります。
設立1期目の課税売上高を1年分に換算した金額が1,200万円になり、1,000万円を超えているので、3期目は消費税の課税事業者になるため消費税を納める必要があります。

繰り返しますが、3期目の消費税の納税義務は、1期目の課税売上高の金額を1年換算した金額が、1,000万円を超えるかどうかで判定します。

なお、資本金の額は関係ありません。資本金が1,000万円以上であっても、1期目の課税売上高の金額を1年換算した金額が1,000万円以下なら3期目の消費税の納税義務は免除されます。

また、1期目の課税売上高の金額を1年換算した金額が1,000万円以下であっても、特定期間(2期目の初日から6ヶ月間)の課税売上高が1,000万円を超える場合は、消費税を納める必要があります。

 

4年期以降

4年期以降については、基準期間となる前々期の課税売上高の大きさで判定することになります。

前々期の課税売上高が1,000万円以下ならば、その期は消費税の免税事業者となり、消費税の納税義務は免除されるので、消費税を納める必要はありません。

前々期の課税売上高が1,000万円を超えるならば、その期は消費税の課税事業者となり、消費税を納める必要があります。

 

特定期間のおさらい

1期目の初日から6ヶ月間の期間(2期目の特定期間にあたります)の課税売上高が1,000万円を超える場合は、2期目は消費税を収める必要があります。

2期目の初日から6ヶ月間の期間(3期目の特定間にあたります)の課税売上高が1,000万円を超える場合は、3期目は消費税を収める必要があります。

特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合であっても、その特定期間における給与等の支払額が1,000万円以下の場合は、消費税の納税義務が免除されます。詳しくは税理士におたずねください。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した基準期間と特定期間の図-2

 

おわりに

消費税は税金のプロである税理士でも間違えることがある厄介な税金です。税理士に相談して消費税で損をしないようにしましょう。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

新規に開業したフリーランス・個人事業主の消費税

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

会社勤めの時は給料から天引きされて所得税や住民税を納めていましたね。フリーランス・個人事業主として開業した場合も所得税や住民税を納める必要がありますが、新たに事業税や消費税も納めなくてはいけなくなります。

今回は、そんな新規に開業したフリーランス・個人事業主の消費税について説明したいと思います。

 

開業1年目、2年目の消費税

フリーランス・個人事業主として開業した1年目(開業日からその年の12月31日まで)と2年目(開業した年の翌年1月1日から12月31日まで)は原則として消費税を納める必要はありません。

開業して2年目までは、基準期間の課税売上高がないので消費税の納税義務が免除されます。基準期間や課税売上高については「売上1,000万円-消費税の納税義務が免除」を参照ください。

 

開業3年目の消費税

フリーランス・個人事業主として開業した3年目の消費税については、3年目の基準期間にあたる、前々年の開業1年目(開業日からその年の12月31日まで)の課税売上高の大きさで判定することになります。

開業1年目の課税売上高が1,000万円以下ならば、開業3年目は消費税の免税事業者となり、消費税の納税義務は免除されるので、消費税を納める必要はありません。

開業1年目の課税売上高が1,000万円を超えるならば、開業3年目は消費税の課税事業者となり、消費税を納める必要があります。

例えば、9月1日に開業して、開業1年目(9月1日から12月31日までの3ヶ月間)の課税売上高が800万円だったとしても、3年目は消費税の納税義務は免除されます。3ヶ月間で800万円の売上だったのだから12ヶ月なら2,400万円の売上になるだろうと1年分に換算する必要はありません。あくまで開業日から12月31日までの課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで判断することになります。開業1年目が何日あったかは関係ありません。

 

開業4年目以降

開業4年目以降の消費税については、基準期間となる前々年の課税売上高の大きさで判定することになります。

前々年の課税売上高が1,000万円以下ならば、その年は消費税の免税事業者となり、消費税の納税義務は免除されるので、消費税を納める必要はありません。

前々年の課税売上高が1,000万円を超えるならば、その年は消費税の課税事業者となり、消費税を納める必要があります。

 

特定期間

その年の基準期間である前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合は、基本的にはその年の消費税の納税義務は免除されます。

しかし、その場合であっても特定期間の課税売上高が1,000万円を超えている場合は、消費税の納税義務は免除されません。

フリーランス・個人事業主の方の特定期間とは、その年の前年の1月1日から6月30日の半年間のことをいいます。

例えば・・・
前々年の課税売上高が900万円であっても、前年の1月1日から6月30日の間の課税売上高が1,200万円あった場合は、基準期間の課税売上高は1,000万円以下ですが、特定期間の課税売上高は1,000万円を超えることになります。
よって、その年は消費税の課税事業者となり、消費税を納める必要があります。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した基準期間と特定期間の図-1

 

おわりに

税理士に頼らずに自分で確定申告しているフリーランス・個人事業主の方もいらっしゃると思います。そんな方でも、売上が1,000万円を超えて、消費税の課税事業者になり消費税を納める必要が出てきたら、税理士に相談してみてください。消費税は税金のプロである税理士でも間違えることがある厄介な税金です。税理士に相談して消費税で損をしないようにしましょう。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

売上1,000万円-消費税の納税義務が免除

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、フリーランス・個人事業主、株式会社などの法人について、売上高が少ない場合に消費税の納税義務が免除される制度について説明したいと思います。

 

消費税の納税義務の免除

フリーランス・個人事業主、株式会社などの法人の事業者について、消費税の「課税期間」の「基準期間」における「課税売上高」が1,000万円以下の場合は、消費税の納税の義務が免除されます。

すみません、専門用語が色々出てきて読みにくいですね。

 

課税期間

「課税期間」とは、消費税が課税される区切りとなる期間のことです。

フリーランス・個人事業主については1月1日から12月31日までの1年間、株式会社などの法人については事業年度が課税期間になります。課税期間は通常1年間ですが1ヶ月ごと、3ヶ月ごとに短縮することもできます。

 

基準期間

「基準期間」とは、課税期間において消費税を納める課税事業者になるか、消費税の納税が免除される免税事業者になるかを判定する基準となる期間のことです。

フリーランス・個人事業主については、課税期間の前々年が基準期間になります。

株式会社などの法人で事業年度が1年の場合については、課税期間の前々期になります。

 

課税売上高

「課税売上高」とは、消費税の課税対象となる売上高のことです。

返品や値引き割戻しがあれば、それを差し引きます。消費税が0%課税される輸出などの免税取引も含みます。

課税売上高は、その売上高が計上された期間が消費税の課税事業者である場合は、税抜きの金額になります。

対して、その売上高が計上された期間が消費税の免税事業者である場合は、税込みの金額になるので注意してください。

 

あらためて消費税の納税義務が免除

フリーランス・個人事業主、株式会社などの法人の事業者は、前々年の消費税課税対象の売上高が1,000万円の場合は、その年は消費税を納める必要がありません。

その年の課税売上高が1,000万円を超えていても、前々年の課税売上高が1,000万円以下ならば、その年は免税事業者として消費税を納める必要がありません。

その年の課税売上高が1,000万円以下であっても、前々年の課税売上高が1,000万円を超えていたならば、その年は課税事業者として消費税を納める必要があります。

 

消費税の納税義務の免除について注意するポイント

消費税の納税義務が免除されていても、取引先から消費税を受け取ることには何の問題もありません。消費税そのものが免除されているのではなく、消費税を納めることが免除されているだけなので、忘れずに消費税分も請求しましょう。

新しく事業を始めた場合、1年目、2年目は基準期間がないので、原則として消費税の納税義務は免除されます。

基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても「特定期間」における課税売上高が1,000万円を超えていると、消費税の納税義務は免除されず、消費税の課税事業者となります。「特定期間」については、少々複雑なので別ページで説明したいと思います。

資本金が1,000万円以上の株式会社は、基準期間の課税売上高に関係なく、自動的に消費税の課税事業者になります。

消費税の納税が免除されることが、必ずしも有利とは限りません。例えば、大きな設備投資などがあって、得意先から受け取る消費税よりも、業者などに支払う消費税の方が大きい場合は、免税事業者だと消費税の還付を受けることができず、損をしてしまいます。この場合は、事前に税務署に「消費税課税事業者選択届出書」を提出して、消費税の課税事業者になる必要があります。

 

おわりに

消費税は税金のプロである税理士でも間違うことが多い税金です。消費税について迷ったり困ったことがあったら、ぜひ税理士に相談してみてくださいね。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。