税理士の選び方-税務署出身の税理士

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

税理士になるまでの道のりにはいくつかのルートがあります。主なものは、税理士試験に合格した人、税務署OBの人、大学院で試験免除された人、公認会計士の4つです。それぞれ得意分野が違うので税理士を選ぶときは、その税理士がどういう経緯で税理士になったのかも参考にすると良いと思います。

今回は、税務署出身の税理士について解説したいと思います。

 

税理士全体のうち税務署出身の税理士は3割

税理士は皆、税理士試験に合格して税理士になったと思われる方も多いと思います。しかし、全国の税理士7万人のうち、3割ほどが税理士試験を免除された税務署出身の税理士が占めています。

 

税務署などに一定期間勤務すると税理士試験が免除されます

国税庁や国税局、税務署などに勤務して国税に携わったり、都道府県市区町村などに勤務して地方税に携わっていた一定の公務員は、税理士試験の一部または全部が免除されます。

例えば、税務署に23年間勤務すると、税理士試験の全部が免除されて、研修を受ければ税理士として登録することができます。

 

税務署出身の税理士のメリット

税務署出身の税理士のメリットは、なんといっても税務調査に強いことです。長年にわたり税務調査の現場で培った知識と経験は、税理士試験に合格した税理士や公認会計士・税理士では太刀打ちできないでしょう。税務署時代に勤めていた部署に関する税金についての知識も豊富にあります。

税務調査が多いと言われている業種、例えば水商売やパチンコ、不動産業、建設業などの場合は、税務署出身の税理士を選ぶと心強いですね。

 

税務署出身の税理士の注意点

税務署出身の税理士だからと言って全ての税金に詳しいわけではありませんし、全ての税金の税務調査に強いわけではありません。税務署にはいくつかの部署があります。その税理士がどこの部署出身なのかで得意とする税金が変わってきます。

税務署の個人課税部門に長く勤めていた税理士は、所得税や個人事業の消費税を得意としています。フリーランスや個人事業主の方が税務署出身の税理士を探す場合は、個人課税部門出身の税理士が良いと思います。

税務署の法人課税部門に長く勤めていた税理士は、法人税や法人の消費税を得意としています。株式会社などの法人や、フリーランス・個人事業主で将来法人なりを考えている方が、税務署出身の税理士を探す場合は、法人課税部門出身の税理士が良いと思います。

資産課税部門に長く勤めていた税理士は、相続税や贈与税、土地や建物などを譲渡したときの所得税を得意としています。相続税の相談をしたい場合は、資産課税部門出身の税理士を探すと良いと思います。

このように、税務調査に強い税理士として税務署出身の税理士を探すときには、単に税務署出身というだけでなく、どこの部署での経験が長いのかを考慮してください。

 

税務署出身の税理士のデメリット

税理士試験に合格した税理士や公認会計士・税理士に比べると、税務署出身の税理士は会計が得意でない場合が多いようです。

税務調査に強い半面、資金繰り、コンサルティング、業務改善、財務アドバイザリー業務など税金以外のことについては不得意である可能性が高いです。

税理士試験免除の特性上、年齢が高いため、人によっては気軽に相談できないかもしれません。年齢が高いことから、パソコンやITを苦手としている人が多いですね。

日々の経理処理をしっかりやって、グレーな処理などをしていない場合や、毎月税理士に帳簿をチェックしてもらっている場合は、税務調査はそんなに怖いものではありません。そのような会社であれば、税理士選びの際に税務調査を重視する必要はないかもしれません。

 

税務署出身の税理士のウワサ

税務署出身の税理士だと、税務署に顔が効いて、税務調査が緩くなったり省略されたりするというウワサがあります。昔はあったかもしれませんが、現在ではそういったことはまずないと考えてください。国税庁出身の大物税理士が脱税指南で逮捕、などといったニュースも最近では珍しくありません。元身内でも容赦なく税務調査で追い込まれています。

なお、国税庁幹部のキャリア組や税務署長クラスになると、色んな方面に顔が広くため、人脈という点でビジネスにおける様々なメリットはあると思います。そういった大物OBはごくごく僅かしかいませんし、中小企業は相手にしてくれません。

 

おわりに

税務署出身の人が難しい税理士試験を免除されて税理士になることについては、廃止しろという声が昔からあります。税理士業界も競争が厳しくなってきているので、仕方のないことは思いますが、税務署出身税理士の税務調査における知識と経験を有効に活用した方が、納税者にとってメリットがあるのは間違いありません。

先にも書きましたが、税務調査が心配な場合は、税務署出身の税理士を選ぶと良いでしょう。

下記の解説も参考にしてみてください。
税理士の種類別の人数-税理士試験合格者だけではありません
税理士の選び方-税理士試験に合格した税理士
税理士の選び方-大学院修了で試験免除された税理士

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。