事業用預金の受取利息は非課税取引です-フリーランス・個人事業主

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、フリーランス・個人事業主の方の受取利息の消費税区分ついて説明したいと思います。

 

受取利息の会計処理

フリーランス・個人事業主の方の場合、受取利息は事業所得ではなく利子所得になります。そのため事業用の会計帳簿に記帳する場合は、このようになります。

借方 貸方
普通預金 1,000 事業主借 1,000
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

 

利子所得は、所得税法上は源泉分離課税になるので確定申告をする必要はありません。
詳しくは「受取利息の会計処理-フリーランス・個人事業主の場合」を参照ください。

 

受取利息の消費税

受取利息は、お金という資産を貸し付けて、その対価として受け取るものです。そのため本来であれば消費税がかかる課税取引になります。

しかし、消費税は、財貨やサービスの流れを通して、消費に負担を求める税金という性格をもっています。そのため、消費税の課税の対象になじまない資金の流れに関する取引などは非課税取引として消費税はかからないことになっています。

具体的には、次のものを対価とする金融取引などが、消費税がかからない非課税取引になります。

  1. 預貯金や貸付金の利子
  2. 国債、地方債、社債、新株予約権付社債、投資法人債券の利子
  3. 国際通貨基金協定に規定する特別引出権の利子
  4. 信用の保証料
  5. 合同運用信託又は公社債投資信託の信託報酬(株式や出資に対する投資で運用しないものに限られます)
  6. 保険料(厚生年金基金契約等における事務費用部分を除きます)
  7. 保険料に類似する共済の掛金
  8. 集団投資信託、法人課税信託、特定公益信託などの収益の分配金
  9. 相互掛金、定期積金の給付補てん金
  10. 無尽契約の掛金差益
  11. 抵当証券の利息
  12. 割引債の償還差益(割引債には利付債も含まれます)
  13. 手形の割引料
  14. 金銭債権の買取や立替払による差益
  15. 有価証券の賃貸料(登録国債は含まれますが、ゴルフ会員権などは含まれません)
  16. 物上保証料
  17. 割賦販売法に基づく割賦販売、ローン提携販売、包括信用購入あっせん、個別信用購入あっせんの手数料で契約において明らかに区分されている部分の金額
  18. 割賦販売などに準ずる方法により資産の譲渡等を行う場合の利子や保証料相当額で契約において明らかに区分されている部分の金額
  19. 動産や不動産の貸付けを行う信託の利子や保険料相当額で契約において明らかに区分されている部分の金額(信託は、貸付期間の終了時に未償却残額で譲渡する旨の特約が付されたものに限られます)
  20. ファイナンス・リースにおけるリース料で、利子や保険料に当たるものが契約で区分されている部分の金額

 

事業用の預金口座にかかる受取利息

事業用の銀行口座の預金につく受取利息は、上記のとおり非課税売上になります。

会計帳簿においては、受取利息は事業主借になるので収益には含まれません。しかし消費税の区分では非課税売上として収入に含めることになります。
会計ソフトに受取利息の仕訳を入力する際は注意してください。そのまま事業主借として仕訳入力すると、消費税の計算における非課税売上の集計から外れてしまいます。

 

事業には関係ない個人的な預金口座にかかる受取利息

事業には関係ない個人的な預金口座につく受取利息は、事業として行ったものではないため、消費税がかからない不課税売上になります。

非課税売上は、本来であれば消費税がかかる取引について、政策的に消費税がかからないようにしているものです。

不課税売上は、そもそも消費税がかららない取引です。

 

税務調査

受取利息の消費税区分について、非課税売上、不課税売上どちらにするか間違えたとしても、納める税金の額に大きな影響がでる場合は少ないと思います。

しかし、しっかりと区分することで、税務調査における調査官の心証は良くなるはずです。消費税について細かいところもちゃんと処理しているのだから、他もちゃんとしているだろうと思われるかもしれません。

 

おわりに

消費税は税金のプロである税理士でも間違えることがある厄介な税金です。フリーランス・個人事業主として新規に開業したら、起業や法人成りで株式会社などの法人を設立したら、税理士に相談して消費税で損をしないようにしましょう。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。