公益法人会計基準注解の全文 | 公益法人会計基準-3

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区や渋谷、新宿など東京23区の公益法人や一般法人を支援している公認会計士・税理士が社団法人・財団法人の税金について解説します。

今回は、公益会計基準注解の全文をご紹介します。公益法人会計基準の本文と合わせて読むとさらに理解が深まると思います。

 

 

公益法人会計基準注解

四角で囲った参照元となった公益法人会計基準の本文に続いて、注解を記載しています。

 

第1 総則
2 一般原則
(4) 重要性の乏しいものについては、会計処理の原則及び手続並びに財務諸表の表示方法の適用に際して、本来の厳密な方法によらず、他の簡便な方法によることができる。(注1)

(注1) 重要性の原則の適用について

重要性の原則の適用例としては、次のようなものがある。

  1. 消耗品、貯蔵品等のうち、重要性が乏しいものについては、その買入時又は払出時に正味財産の減少原因として処理する方法を採用することができる。
  2. 取得価額と債券金額との差額について重要性が乏しい満期保有目的の債券については、償却原価法を適用しないことができる。
  3. 寄付によって受け入れた金額に重要性が乏しい場合、寄付者等(会員等を含む。以下同じ。)からの制約が課される期間に重要性が乏しい場合、又は寄付者等からの制約に重要性が乏しい場合には、当該寄付によって増加した正味財産を指定正味財産の増加額としないで、一般正味財産の増加額として処理することができる。
  4. ファイナンス・リース取引について、取得したリース物件の価額に重要性が乏しい場合、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる。
  5. 法人税法上の収益事業に係る課税所得の額に重要性が乏しい場合、税効果会計を適用しないで、繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しないことができる。なお、財産目録の作成及び表示にあたっても重要性の原則が適用される。

 

 

第1 総則
4 会計区分
公益法人は、法令の要請等により、必要と認めた場合には会計区分を設けなければならない。(注2)

(注2) 内訳表における内部取引高等の相殺消去について

当該公益法人が有する会計区分間において生ずる内部取引高は、正味財産増減計算書内訳表において相殺消去するものとする。また、公益法人が会計区分を有する場合には、会計区分間における内部貸借取引の残高は、貸借対照表内訳表において相殺消去するものとする。

 

 

第2 貸借対照表
2 貸借対照表の区分
貸借対照表は、資産の部、負債の部及び正味財産の部に分かち、更に資産の部を流動資産及び固定資産に、負債の部を流動負債及び固定負債に、正味財産の部を指定正味財産及び一般正味財産に区分しなければならない。なお、正味財産の部には、指定正味財産及び一般正味財産のそれぞれについて、基本財産への充当額及び特定資産への充当額を内書きとして記載するものとする。(注3)(注4)(注5)(注6)(注7)

(注3) 総額主義について

貸借対照表における資産、負債及び正味財産は、総額をもって記載することを原則とし、資産の項目と負債又は正味財産の項目とを相殺することによって、その全部又は一部を貸借対照表から除去してはならない。
総額主義の原則は、正味財産増減計算書においても適用する。

(注4) 基本財産及び特定資産の表示について

  1. 当該公益法人が基本財産又は特定資産を有する場合には、固定資産を基本財産、特定資産及びその他固定資産に区分するものとする。
  2. 寄付によって受け入れた資産で、その額が指定正味財産に計上されるものについては、基本財産又は特定資産の区分に記載するものとする。
  3. 当該公益法人が特定の目的のために預金、有価証券等を有する場合には、当該資産の保有目的を示す独立の科目をもって、貸借対照表上、特定資産の区分に記載するものとする。

(注5) 基金について

基金を設定した場合には、貸借対照表の正味財産の部を基金、指定正味財産及び一般正味財産に区分し、当該基金の額を記載しなければならない。

(注6) 指定正味財産の区分について

寄付によって受け入れた資産で、寄付者等の意思により当該資産の使途について制約が課されている場合には、当該受け入れた資産の額を、貸借対照表上、指定正味財産の区分に記載するものとする。また、当期中に当該寄付によって受け入れた資産の額は、正味財産増減計算書における指定正味財産増減の部に記載するものとする。

(注7) 一般正味財産の区分について

基金の返還により代替基金が計上されている場合には、一般正味財産を代替基金及びその他一般正味財産に区分するものとする。

 

 

第2 貸借対照表
3 資産の貸借対照表価額
(1) 資産の貸借対照表価額は、原則として、当該資産の取得価額を基礎として計上しなければならない。交換、受贈等によって取得した資産の取得価額は、その取得時における公正な評価額とする。(注8)

(注8) 外貨建の資産及び負債の決算時における換算について

外国通貨、外貨建金銭債権債務(外貨預金を含む。)及び外貨建有価証券等については、子会社株式及び関連会社株式を除き、決算時の為替相場による円換算額を付すものとする。
決算時における換算によって生じた換算差額は、原則として、当期の為替差損益として処理する。

 

 

第2 貸借対照表
3 資産の貸借対照表価額
(3) 満期まで所有する意思をもって保有する社債その他の債券 ( 以下「満期保有目的の債券」という。 ) 並びに子会社株式及び関連会社株式については、取得価額をもって貸借対照表価額とする。満期保有目的の債券並びに子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券のうち市場価格のあるものについては、時価をもって貸借対照表価額とする。(注9)(注10)(注11)

(注9) 満期保有目的の債券の評価について

満期保有目的の債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない。

(注 10) 満期保有目的の債券並びに子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券について

満期保有目的の債券並びに子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券のうち市場価格のあるものについては、時価評価に伴って生じる評価差額は、当期の正味財産増減額として処理するものとする。

(注 11) 指定正味財産に区分される寄付によって受け入れた有価証券の会計処理について

指定正味財産に区分される寄付によって受け入れた有価証券を時価又は償却原価で評価する場合には、従前の帳簿価額との差額は、正味財産増減計算書上、指定正味財産増減の部に記載するものとする。

 

 

第3 正味財産増減計算書
2 正味財産増減計算書の区分
正味財産増減計算書は、一般正味財産増減の部及び指定正味財産増減の部に分かち、更に一般正味財産増減の部を経常増減の部及び経常外増減の部に区分するものとする。(注6)(注12)(注13)(注14)(注15)

(注6) 指定正味財産の区分について

寄付によって受け入れた資産で、寄付者等の意思により当該資産の使途について制約が課されている場合には、当該受け入れた資産の額を、貸借対照表上、指定正味財産の区分に記載するものとする。また、当期中に当該寄付によって受け入れた資産の額は、正味財産増減計算書における指定正味財産増減の部に記載するものとする。

(注 12) 基金増減の部について

基金を設定した場合には、正味財産増減計算書は、一般正味財産増減の部、指定正味財産増減の部及び基金増減の部に分けるものとする。
基金増減の部は、基金増減額を発生原因別に表示し、これに基金期首残高を加算して基金期末残高を表示しなければならない。

(注 13) 補助金等について

法人が国又は地方公共団体等から補助金等を受け入れた場合、原則として、その受入額を受取補助金等として指定正味財産増減の部に記載し、補助金等の目的たる支出が行われるのに応じて当該金額を指定正味財産から一般正味財産に振り替えるものとする。なお、当該事業年度末までに目的たる支出を行うことが予定されている補助金等を受け入れた場合には、その受入額を受取補助金等として一般正味財産増減の部に記載することができる。
ただし、当該補助金等が国又は地方公共団体等の補助金等交付業務を実質的に代行する目的で当該法人に一時的に支払われたものである場合等、当該補助金等を第三者へ交付する義務を負担する場合には、当該補助金等は預り補助金等として処理し、事業年度末における残高を負債の部に記載するものとする。

(注 14) 一般正味財産増減の部における経常外増減に属する項目について

一般正味財産増減の部における経常外増減に属する項目には、臨時的項目及び過年度修正項目がある。
なお、経常外増減に属する項目であっても、金額の僅少なもの又は毎期経常的に発生するものは、経常増減の区分に記載することができる。

(注 15) 指定正味財産の部から一般正味財産の部への振替について

次に掲げる金額は、指定正味財産の部から一般正味財産の部に振り替え、当期の振替額を正味財産増減計算書における指定正味財産増減の部及び一般正味財産増減の部に記載しなければならない。

  1. 指定正味財産に区分される寄付によって受け入れた資産について、制約が解除された場合には、当該資産の帳簿価額
  2. 指定正味財産に区分される寄付によって受け入れた資産について、減価償却を行った場合には、当該減価償却費の額
  3. 指定正味財産に区分される寄付によって受け入れた資産が災害等により消滅した場合には、当該資産の帳簿価額

なお、一般正味財産増減の部において、指定正味財産からの振替額は、その性格に従って、経常収益又は経常外収益として記載するものとする。

 

 

第3 正味財産増減計算書
3 正味財産増減計算書の構成
一般正味財産増減の部は、経常収益及び経常費用を記載して当期経常増減額を表示し、これに経常外増減に属する項目を加減して当期一般正味財産増減額を表示するとともに、更にこれに一般正味財産期首残高を加算して一般正味財産期末残高を表示しなければならない。
指定正味財産増減の部は、指定正味財産増減額を発生原因別に表示し、これに指定正味財産期首残高を加算して指定正味財産期末残高を表示しなければならない。(注3)(注12)(注15)(注16)

(注3) 総額主義について

貸借対照表における資産、負債及び正味財産は、総額をもって記載することを原則とし、資産の項目と負債又は正味財産の項目とを相殺することによって、その全部又は一部を貸借対照表から除去してはならない。
総額主義の原則は、正味財産増減計算書においても適用する。

(注 12) 基金増減の部について

基金を設定した場合には、正味財産増減計算書は、一般正味財産増減の部、指定正味財産増減の部及び基金増減の部に分けるものとする。
基金増減の部は、基金増減額を発生原因別に表示し、これに基金期首残高を加算して基金期末残高を表示しなければならない。

(注 15) 指定正味財産の部から一般正味財産の部への振替について

次に掲げる金額は、指定正味財産の部から一般正味財産の部に振り替え、当期の振替額を正味財産増減計算書における指定正味財産増減の部及び一般正味財産増減の部に記載しなければならない。

  1. 指定正味財産に区分される寄付によって受け入れた資産について、制約が解除された場合には、当該資産の帳簿価額
  2. 指定正味財産に区分される寄付によって受け入れた資産について、減価償却を行った場合には、当該減価償却費の額
  3. 指定正味財産に区分される寄付によって受け入れた資産が災害等により消滅した場合には、当該資産の帳簿価額

なお、一般正味財産増減の部において、指定正味財産からの振替額は、その性格に従って、経常収益又は経常外収益として記載するものとする。

(注 16) 投資有価証券評価損益等の表示方法について

経常収益又は経常費用に含まれる投資有価証券(基本財産又は特定資産の区分に記載されるものを含む。)に係る評価損益及び売却損益については、その他の経常収益及び経常費用と区別して記載するものとする。この場合、その他の経常収益からその他の経常費用を控除して評価損益等調整前当期経常増減額を表示し、さらに投資有価証券評価損益等を調整することによって当期経常増減額を表示する。

 

 

第5 財務諸表の注記
財務諸表には、次の事項を注記しなければならない。
(14) 関連当事者との取引の内容(注17)

(注 17) 関連当事者との取引の内容について

1 関連当事者とは、次に掲げる者をいう。

  1. 当該公益法人を支配する法人
  2. 当該公益法人によって支配される法人
  3. 当該公益法人と同一の支配法人をもつ法人
  4. 当該公益法人の役員又は評議員及びそれらの近親者

 

2 関連当事者との取引については、次に掲げる事項を原則として関連当事者ごとに注記しなければならない。

  1. 当該関連当事者が法人の場合には、その名称、所在地、直近の事業年度末における資産総額及び事業の内容。なお、当該関連当事者が会社の場合には、当該関連当事者の議決権に対する当該公益法人の所有割合
  2. 当該関連当事者が個人の場合には、その氏名及び職業
  3. 当該公益法人と関連当事者との関係
  4. 取引の内容
  5. 取引の種類別の取引金額
  6. 取引条件及び取引条件の決定方針
  7. 取引により発生した債権債務に係る主な科目別の期末残高
  8. 取引条件の変更があった場合には、その旨、変更の内容及び当該変更が財務諸表に与えている影響の内容

 

3 関連当事者との間の取引のうち次に定める取引については、2に規定する注記を要しない。

  1. 一般競争入札による取引並びに預金利息及び配当金の受取りその他取引の性格からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引
  2. 役員又は評議員に対する報酬、賞与及び退職慰労金の支払い

 

 

おわりに

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最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。