値引 割戻 割引の違い

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区や渋谷区、新宿区など東京23区のベンチャー企業やスタートアップ起業を支援している公認会計士・税理士が会計について解説します。

 

まちなかを歩いていると値引割引といった言葉をよく目にしますね。(割戻(わりもどし)という言葉はあまり見覚えがないかもしれません。)どれも同じような内容をイメージされるかもしれませんが、面倒なことに会計の世界では、値引、割戻、割引を区別して仕訳・経理処理する必要があります。

今回は、そんな値引、割戻、割引の違いについて説明したいと思います。

 

 

値引、割戻、割引

値引、割戻、割引は、どれもモノ・サービスの代金を安くするという共通点があります。
値引、割戻、割引の何が違うのかというと、モノ・サービスの代金を安くする理由が違うのです。

 

 

値引とは

会計上の値引とは、モノ・サービスの「質」を理由にしてモノ・サービスの代金を安くすることをいいます。「質」とは、例えば季節外れ商品、不良品、破損品などが該当します。

値引の例としては下記のようなものがあります。

  • スーパーにて賞味期限が近い生鮮食品の価格を下げる
  • 商品の中身は問題ないけどパッケージの箱が破けてしまったため価格を下げる

 

値引の経理処理

値引の仕訳・経理処理は、売上・仕入の際の仕訳の逆仕訳を行います。

 

A社はB社に掛で商品を販売したが、その商品について品質不良が見つかり30,000円の値引を行った。

 

借方 貸方
売上 30,000円 売掛金 30,000円

 

B社はA社から掛で商品を仕入れたが、その商品について品質不良が見つかり30,000円の値引を受けた。

 

借方 貸方
買掛金 30,000円 仕入 30,000円

 

 

割戻とは

会計上の割戻とは、モノ・サービスの「量」を理由にしてモノ・サービスの代金を安くすることをいいます。「量」とは、いわゆるボリュームディスカウントのことで、たくさん買う、まとめて買うことで、価格を安くすることが該当します。

値引の例としては下記のようなものがあります。

  • 洋服屋さんのセールで、1着だけ買う場合は4,000円のカットソーが3着まとめて買うと10,000円に値下げされる。
  • 学習塾で、週1回授業の場合の月謝は5,000円のところ、週2回授業にすると月謝が9,000円になる。

 

割戻の経理処理

割戻の仕訳・経理処理は、値引と同様に売上・仕入の際の仕訳の逆仕訳を行います。

 

A社はB社に掛で商品を販売しているが、B社への販売数量がA社規定の数量を超えたので100,000円の割戻を行った。

 

借方 貸方
売上 100,000円 売掛金 100,000円

 

B社はA社から掛で商品を仕入れているが、A社からの購入数量がA社規定の数量を超えたので100,000円の割戻を受けた。

 

借方 貸方
買掛金 100,000円 仕入 100,000円

 

 

割引とは

会計上の割引とは、モノ・サービスの代金の支払いについて、支払期限よりも早く支払うことを理由にして、モノ・サービスの代金を安くすることをいいます。早く支払ってくれたのだから、早く支払ってくれた期間に応じてその利息相当分を割り引くのです。

割引の例としては下記のようなものがあります。

  • 通常の支払いは月末締めの翌月末払いになっているが、納入時即現金払いの場合は、商品代金から1%割り引く。

 

割引の経理処理

割引の仕訳・経理処理は、割引が利息としての性格を持つため、売上割引(営業外費用)・仕入割引(営業外収益)といった勘定科目を使います。値引・割戻とは経理処理が異なるので注意して下さい。

 

A社がB社に販売した商品500,000円について、月末締め翌々末払いのところB社が1ヶ月早く決済してくれたので、5,000円の割引を行った。

 

借方 貸方
現金 495,000円 売掛金 500,000円
売上割引(営業外費用) 5,000円

 

B社がA社から仕入れた商品500,000円について、資金繰りに余裕があったため、月末締め翌々末払いのところ1ヶ月早く決済して、5,000円の割引を受けた。

 

借方 貸方
買掛金 500,000円 現金 495,000円
仕入割引(営業外収益) 5,000円

 

 

補足 値引、割戻、割引の消費税

売上値引、売上割戻、売上割引は、「売上に係る対価の返還等」として、課税標準額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等に係る消費税額を控除します。
売上値引、売上割戻、売上割引があった場合は、当初の売上を計上した期間でなく、売上値引、売上割戻、売上割引を行った期間において上記の調整を行います。

 

仕入値引、仕入割戻、仕入割引は、「仕入に係る対価の返還等」として、課税期間において控除される課税仕入れ等の消費税額の合計額から課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を控除します。
仕入値引、仕入割戻、仕入割引があった場合は、当初の仕入を計上した期間ではなく、仕入値引、仕入割戻、仕入割引を受けた期間において上記の調整を行います。

 

割引は利息としての性格を持つと申しましたが、消費税法上は非課税取引にはなりません。割引は課税取引になるので、割引にかかる消費税は、値引と割戻にかかる消費税と同様に処理するので注意してください。

消費税については処理が複雑なので税理士に相談することをおすすめします。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で起業された方、または起業をお考えの方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。会計や節税だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの会社の持続的な発展のお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。