利子所得でも確定申告が必要な場合があります

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、所得税法で定められている10種類の所得のうち、利子所得について説明します。
利子所得は基本的に確定申告は不要ですが、確定申告が必要となる利子もあるので注意してください。

 

利子所得とは

利子所得とは、預貯金や公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいいます。
一般的な人に関係してくるのは、銀行などに預金して受け取る利子ですね。

 

利子所得の金額の計算方法

一般的に所得金額は

収入金額-必要経費=所得金額

で、計算されます。

利子所得の金額は必要経費がかからないため

利子などの収入金額=利子所得の金額

になります。
ここでいう利子などの収入金額は、手取り金額ではなく税金を引かれる前の金額をいいます。
皆さんの手もとに入ってくる利子は、すでに税金が引かれている(源泉徴収されている)ので注意してください。

 

税金の額の計算方法

利子所得の金額に 20.315% ( 所得税 15% + 復興特別所得税 0.315% ( 15% × 2.1% ) + 住民税 5% ) を乗じて計算された税金が、利子を受け取るときに差し引かれ(源泉徴収され)ます。残りの79.685%分が手取り金額になります。
これで税金を払ったことになるので、あらためて確定申告をする必要はありません。このような税金の支払い方を源泉分離課税といいます。

「確定申告をする必要がありません」と書きましたが、確定申告がしたくてもできないのです。所得税、復興特別所得税、住民税の合計の税率が20.315%より低い場合でも、確定申告をして還付を受けることはできません。

 

外国の金融機関の口座の利子

海外の金融機関の口座の利子は、受け取るときに日本の税金が差し引かれない(源泉徴収されない)ため、確定申告して日本で税金を払う必要があります。
日本では税金が差し引かれていませんが、外国の税金が差し引かれている場合があります。この場合は、日本と外国で二重に税金を払うのを防ぐために、確定申告において外国税額控除の手続きをしなければいけません。

外国から受け取る利子は、利率が高く多額になる場合もあります。確定申告をするのを忘れていると、本来払うべきであった税金だけでなく、ペナルティとして追加の税金を払うハメになります。税務署は海外口座の情報も押さえているため、外国だからといって見逃されることはありません。税理士に相談して忘れずに申告してくださいね。

なお、給与所得者で確定申告が不要な方のうち、外国口座の利子とその他給料以外の所得の合計20万円以下なら確定申告は不要です。

 

利子所得にならない利子

利子なのに利子所得にならないものがあるので注意してください。確定申告が必要になる場合もあります。

例えば・・・

  • 社長が自分の会社にお金を貸し付けて、利息を受け取る場合は、雑所得になります。
  • 事業とは関係なく、友達や知人に個人的にお金を貸したときに受け取る利息は、雑所得になります。
  • フリーランス・個人事業主が、取引先や従業員にお金を貸したときに受け取る利息は、事業に付随するものとして事業所得になります。

 

おわりに

利子は基本的には確定申告する必要はありません。海外口座の利子や、知人や取引先への貸付にかかる利子など確定申告が必要となる利子もあるので注意してください。困ったときは税務署に直接聞いてみるか、税理士に相談してみてください。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。