エンジェル税制でベンチャー支援

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、ベンチャー支援のためのエンジェル税制について、その概要のご紹介をします。

 

 

エンジェル税制とは

エンジェル税制とは、個人投資家からベンチャー企業への投資を促進するために、ベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に対して、所得税を減税するという税制上の優遇措置を行うもので、ベンチャー企業投資促進税制ともいわれる制度です。

個人投資家がベンチャー企業に対して投資を行った場合、

  • 投資した時点(お金を払ってベンチャー企業の新規発行株式を取得するなど直接投資した時点)
  • 売却時点(その株式を売却した時点)

どちらの時点においても税制上の優遇措置を受けることができます。

 

 

エンジェル税制でベンチャー企業に投資する個人投資家のメリット

エンジェル税制でベンチャー企業に投資する個人投資家のメリットとしては下記のようなものが挙げられれます。

  • ベンチャー企業に投資した時点と、その投資を売却した時点の両方において所得税を節税することができます。
  • 一定の要件を満たせば、会社の経営陣もエンジェル税制を利用することができます。投資した時では投資金額の一部が、総所得か株式譲渡益のどちらかの控除対象になります。
  • その投資を売却した時に損失が発生した場合、その損失については3年間の繰り越し控除ができます。
  • エンジェル税制の対象となるベンチャー企業は、管轄の経済産業局における事前審査で一定の条件を満たしているベンチャー企業であるため、投資への抵抗感が少なくなります。

 

 

エンジェル税制で個人投資家から投資を受けるベンチャー企業のメリット

エンジェル税制で個人投資家から投資を受けるベンチャー企業のメリットとしては下記のようなものが挙げられれます。

  • 自分の会社に投資してくれる個人投資家のリスクが減ることになるので、今までなかった新しい投資機会の創出につながります。
  • 金融機関から資金調達の難しい時期の、成長段階におけるベンチャー企業がエンジェル税制の対象になります。
  • 事前確認制度によって、自分の会社がエンジェル税制の対象であることを投資の前段階で確認できるので個人投資家に説明しやすく、その結果投資を募りやすくなります。
  • 投資してくれる個人投資家に対しても事前審査があるので、自分の会社としてもある程度安心して出資を受けることができます。

 

 

ベンチャー企業に投資した個人投資家の所得税節税-投資した年

ベンチャー企業に投資した個人投資家が、投資した年に受けることができる所得税節税の優遇措置は、次の2つから選ぶことができます。

  • (ベンチャー企業への投資金額-2,000円)を、投資した年における総所得金額から控除することができます。ただし、総所得金額×40%、1,000万円のいずれか小さい方が控除できる上限になります。
  • ベンチャー企業への投資金額の全額について、投資した年における他の株式の譲渡益から控除することができます。上限はありません。

 

 

ベンチャー企業に投資した個人投資家の所得税節税-投資を売却した年

ベンチャー企業に投資した個人投資家が、投資を売却した年に受けることができる所得税節税の優遇措置は、次のようになります。

投資先であるベンチャー企業が未上場のまま、その株式の売却によって生じてしまった損失を、その年の他の株式の譲渡益と相殺することができます。
売却した年に相殺しきれなかった損失については、翌年以降3年間にわたってその損失を繰り越して、株式譲渡益と相殺することができます。

投資先であるベンチャー企業が未上場のまま、破産などによって株式の価値がなくなってしまった場合も、上記と同様に3年間にわたって損失を繰り越すことができます。

 

 

エンジェル税制の対象になるベンチャー企業

エンジェル税制の対象になるベンチャー企業のおもな条件は下記のとおりです。

  • 会社設立してから10年未満(優遇措置の種類によっては3年未満)の中小企業者であること
  • 経済産業省の定める新規性要件を満たすこと
  • 外部からの投資が6分の1以上ある会社であること
  • 大規模法人や大規模法人の関係する法人ではないこと
  • 未登録、未上場の株式会社で特定の事業を行う会社ではないこと

 

 

エンジェル税制の対象になる個人投資家

エンジェル税制の対象になる個人投資家のおもな条件は下記のとおりです。

  • お金を払って対象のベンチャー企業の株式を取得していること(現物出資や他人から譲り受けた場合はダメです)
  • 投資先のベンチャー企業が同族会社の場合は、持株割合等の大きい順に第1位から第3位までの株主グループの持株割合等を順番に加算していって、その割合がはじめて50%を超えた時点における株主グループに属していないこと

 

 

エンジェル税制の申請から所得税の減税を受けるまでの流れ

エンジェル税制の申請から所得税の減税を受けるまでの大まかな流れは、下記のようになります。

  • エンジェル税制を受けるベンチャー企業が管轄の経済産業局に申請を行う
  • 経済産業局から確認書の発行を受けたベンチャー企業は、投資をしてくれた個人投資家に対して、その個人投資家が確定申告で所得税の減税を受けるのに必要になる書類を渡します。
  • ベンチャー企業に投資をした個人投資家は、所得税の確定申告においてその旨を記載して、ベンチャー企業から交付を受けた書類を添付します。

 

 

おわりに

エンジェル税制を利用するための申請にはかなりの手間がかかります。エンジェル税制をお考えの場合は、公認会計士や税理士などの専門家に相談してくださいね。

 

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。