税務調査-調査対象の決め方,目をつけられる会社-1

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

税務調査における調査対象の決め方、目をつけられる会社について説明します。
税務署は、やみくもに調査する会社を決めている訳ではありません。予算と人員が限られている税務署において、効果的かつ効率的に調査を行うために、ある程度の法則にしたがって調査する会社を選んでいるのです。

 

税務調査をする会社の決め方

税務署は、税務調査をする会社をどうやって決めているのでしょうか。
税務署が管轄する法人は全国で270万社あり、そのうち調査が入るのは約6%です。

税務署では、国税総合管理(KSK)システムというシステムを使って提出された申告書の異常値を見つけて選定します。多額の特別損失や特別利益がある、売上の急増急落、利益の急増急落、利益率の変化がある会社、同業同規模他社と比較して売上や利益が少ない(経費が多い)会社などをピックアップして調査先の候補とします。

 

税務署における法人の区分

税務署では法人を下記のように区分して調査対象を選ぶ参考にしています。

  1. 第1グループ(申告良好法人):申告と納税が良好な法人
  2. 第2グループ(その他法人):申告良好法人、要調査法人以外の法人で大半の会社はここに区分されます。
  3. 第3グループ(要調査法人):過去に不正があった法人、取引先の不正に加担した法人、税務署などが指定した重要業種法人など

 

調査先を決める基準はさまざま

税務署が調査先を決めるのは、先に説明したKSKシステムからのみではありません。さまざまな基準があり、例えば下記のような事が参考にされます。

儲かっている業界や流行の業界には調査が入りやすく、不況業界、斜陽業界には入りづらいようです。

また税務署としてその年に重点的に調べる業界を挙げて調査に入ることもあります。昨今の例ではFXやアフィリエイト、せどり、インターネットオークションで利益を得ている個人ですね。数十万円の利益でも税務調査は入ります。追徴課税で儲けた分が全て持っていかれることもあります。税務署はインターネットに弱い、自分は少額しか稼いでないからバレないと思う人も多いようですが、それは大間違いです。サーバーから履歴を抜き取ったり、PCのハードディスクを復元して消したデータを見つけるといったことは調査において普通に行います。ちゃんと申告して納税しましょう。

税務署では普段から色んな角度から情報を収集しており、その資料からも選定しています。あそこの飲食店は繁盛しているが売上が少ない、あの人は最近豪邸を建てたが、そのお金はどこから来ているのか、マスコミ等で話題になっている会社や最近派手に宣伝している会社があるが儲かっているのかなど、調査官は普段からアンテナを張り巡らせています。

現金商売の会社も税務署は大好きです。

会社ではなく社長さんに大きなお金の動きにも高い関心を持っています。

過去の税務調査で不正が見つかった会社には調査が入りやすいです。また過去の税務調査で不正が見つかった会社と取引している会社にも調査が入りやすいです。関係会社間の取引や海外取引が多い会社も調査官は気にしますね。

土地建物を売った買ったという不動産取引を行った、大きな投資を行った、多額の資金調達をした会社にも調査が入りやすいです。会社ではなく社長さんに大きなお金の動きがあった場合も対象になりやすいですね。

新たに設立された法人においては、3期終わるまで調査は入らず、4期以降に調査を行うことが多いです。通常の税務調査では過去3期分の調査を行いますが、設立して間もない会社だと3期分の調査ができずに非効率であるためです。

すでに払った法人税や消費税、所得税など返してもらうとき(還付)には税務署で審査されますが、特に消費税の還付を行った会社については審査から税務調査につながることが多いです。

3年ごとに行われるといわれていますが、毎年行われる場合も、5年目の忘れた頃に行われる場合もあります。

 

 

税務調査の関連ページ

税務調査につきましては、下記の関連ページも参照ください。

 

 

 

おわりに

税務調査をする会社の決め方はさまざまな視点がありますが。ひとことで言うと「なんか怪しい」という会社を狙って調査をしています。

税務調査-調査対象の決め方,目をつけられる会社-2」も参照ください。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。