復興特別所得税で面倒になった受取利息の会計処理-法人の場合

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、復興特別所得税で面倒になった法人の場合の受取利息の会計処理について説明したいと思います。

 

法人の受取利息

銀行など金融機関からの受取利息は、

  • 国税である源泉所得税15%
  • 国税である復興特別所得税0.315%(15%×2.1%)
  • 地方税である都道府県民税利子割5%

合計20.315%が差し引かれて、残りの79.685%が手取りとして口座に入金されます。

復興特別所得税があるため、手取りの受取利息から、記帳するのに必要となる受取利息の総額と税金の額を逆算するのが少し面倒になってしまいましたね。

手取りの受取利息として銀行口座に1,000円の入金があった場合を例にして、少しくどいですが、仕訳をするまで計算の手順を書きますね。

 

①予想される受取利息の総額の計算

銀行口座に入金された受取利息は、利息総額から税金20.315%が差し引かれた、残りの79.685%分になっています。そのため手取り金額から利息総額を逆算します。

1,000円 ÷ 79.685% = 1,254円 ( 1円未満切捨 )

銀行口座に入金された手取りの受取利息 ÷ ( 1 - 源泉所得税15% - 復興特別所得税0.315% - 都道府県民税利子割5% ) = 予想される受取利息の総額 ( 1円未満切捨 )

実際に銀行がどういう計算をしているかは分かりません。あくまで試算ですが、国税庁の手引きに記載されている方法なので、税務署的には問題ないと思います。

 

②所得税と復興特別所得税の合計額の計算

利息総額の15%が所得税、0.315%が復興特別所得税なので、所得税と復興特別所得税の合計は15.135%になります。

1,254円 × 15.315% = 192円 ( 1円未満切捨 )

予想される受取利息の総額 × ( 所得税の税率15% + 復興特別所得税の税率0.315% ) = 所得税と復興特別所得税の合計額 ( 1円未満切捨 )

 

③復興特別所得税の計算

192円 × 2.1/102.1 = 4円 ( 50銭以下は切捨、50銭超は切上 )

所得税と復興特別所得税の合計額 × 2.1/102.1 = 復興特別所得税 ( 50銭以下切捨、50銭超を切上 )

 

④所得税の計算

192円 - 4円 = 188円

所得税と復興特別所得税の合計額 - 復興特別所得税 = 所得税

 

⑤都道府県民税利子割の計算

1,254円 × 5% = 62円 ( 1円未満切捨 )

予想される受取利息の総額 × 都道府県民税利子割の税率5% = 都道府県民税利子割

 

⑥あらためて利息の総額の計算

1,000円 + 188円 + 4円 + 62円 = 1,254円

銀行口座に入金された手取りの受取利息+所得税 + 復興特別所得税 + 都道府県民税利子割 = 受取利息の総額

ここで計算した「受取利息の総額」が、はじめに計算した「予想される受取利息の総額」と少しズレてしまうことがあります。
はじめに計算した「予想される受取利息の総額」は、その後に各種計算をするための暫定値にすぎないため、「受取利息の総額」とズレていても問題ありません。

ここで計算した「受取利息の総額」で会計帳簿に記録することになります。

 

記帳するときの仕訳

借方 貸方
普通預金 1,000 受取利息 1,254
法人税等(源泉所得税) 188
法人税等(復興特別所得税) 4
法人税等(都道府県民税利子割) 62
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

同じ銀行に複数の口座を持っている場合でも、口座ごとに仕訳をしてくださいね。

なお、株式会社などの法人の場合と、フリーランス・個人事業主の場合とで、受取利息の会計処理が異なってきます。

フリーランス・個人事業主の場合の会計処理については「受取利息の会計処理-フリーランス・個人事業主の場合」を参照ください。

 

受取利息の消費税について

株式会社など法人の方の受取利息は非課税売上になります。一般的な会計ソフトだと受取利息は非課税売上に設定されていると思いますが、自社でカスタマイズしている場合などはご確認ください。

 

おわりに

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。