1年後に100万円もらうよりも今100万円欲しい-現在価値

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、ファイナンスにおいてもっとも基本かつ重要な概念である現在価値について説明したいと思います。

 

今のお金と将来のお金

あなたは、とある会社のキャンペーンで懸賞金が当たりました。今のお金と将来のお金、どちらを選びますか?

A : 今すぐに100万円をもらえる
B : 1年後に100万円をもらえる

ほとんどの人はAを選ぶと思います。

Aを選んだ理由としてはこんな感じでしょうか。

  • 1年後では、その会社が倒産してしまうなどのアクシデントで100万円がもらえないかもしれない。
  • 今すぐに100万円をもらって、その100万円を投資すれば1年後には100万円以上になっているかもしれない。

このように、人は将来のお金よりも今のお金の方が価値があると思っているのです。

今の100万円>1年後の100万円

では、これならどちらを選びますか?

A : 今すぐに100万円がもらえる
C : 1年後に103万円がもらえる

これならどうでしょう

A : 今すぐに100万円がもらえる
D : 1年後に110万円がもらえる

さらに

A : 今すぐに100万円がもらえる
E : 1年後に150万円がもらえる

はじめのAとBの比較とは違って、どちらを選ぶかは人それぞれになるのではないでしょうか。

これは、人によって現在の価値とイコールになる将来の価値が異なることを示しています。

 

現在価値と割引率

少し視点を変えてみて
次の□に入る金額はいくらですか?

今すぐに100万円がもらえる = 1年後に□もらえる

ある人の□に入る金額が110万円だと仮定します。

今すぐに100万円がもらえる = 1年後に110万円もらえる

この人にとっては1年後の110万円と今の100万円が同価値であることになります。

この関係を数式で表すと

110 ÷ ( 1 + x ) = 100
x = 0.1

このときの0.1を割引率と言います。
将来の金額を1+割引率で割ると現在の金額になります。言い換えると、将来価値を割引率で割り引くと現在価値になるのです。

この割引率というのは、一律に決まっているものではなく、時や場所、人によって様々な値になります。

 

現在価値と将来価値、割引率と利率

現在価値と将来価値、割引率の関係を、皆さんにも馴染みのある利率(金利、利回り、収益率)を使って表すとこのようになります。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した現在価値の図

このように現在価値と将来価値、割引率と利率は、表と裏の関係にあります。頭が混乱したら、この図を思い出してみてください。

 

現在価値

あらためて現在価値とは、発生する時が異なる金額的な価値について、今現在という同じ土俵で比較するために、割引率を使って将来価値を今現在の時点まで割り引いて計算された価値のことを言います。PV(present value)とも言います。

将来価値 ÷ ( 1 + 割引率 ) = 現在価値
現在価値 × ( 1 + 利率 ) = 将来価値

現在価値は、ファイナンスにおいて、もっとも基本であり、もっとも重要な概念になります。

ファイナンスの最大の目的は企業価値の最大化です。現在価値を理解することは、資金調達や投資意思決定、資本構成などビジネスの重要な場面において役に立つでしょう。

 

おわりに

現在価値の概念について、公認会計士は退職給付引当金の検証など仕事で使う場面が多いので知っていますが、税理士にはなかなか馴染みがないと思います。節税だけでなく、このようなコーポレートファイナンスの相談もしたい場合は税理士よりも公認会計士の方が合っているかもしれません。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。